アートの楽しみ方

アートの楽しみ方

先日とあるボーディングスクールのアートの先生から、保護者宛に、ロンドンへ子供達と一緒に一泊旅行に出かけるという、お知らせがありました。旅の目的は、イギリスのもつ素晴らしいアートが集まるロンドンへ鑑賞にでかけるというもの。日本で言えば社会科見学とでも言いましょうか。

ずっと日本に住んでいた私の学生時代を思い返して見ると、美術館へアート鑑賞に出かけたという記憶がありません。(当然、通った学校次第なのでしょうけれど!)。日本の美術館で、小中高生が鑑賞している姿もあまり見かけない気がします。

一方でイギリス。住んでいた頃に様々な美術館を巡りましたが、どこの美術館に行っても、学芸員が子供達に向けて解説をしている姿が印象的でした。「解説」と言っても、画家の紹介をしたり、絵の素晴らしさを話したりなんて事はしません。使われている絵の具や色彩のことで意見交換をしてみたり、鑑賞している絵の続きを想像して描いてみたり、車座になって、他の来訪者の邪魔にならない程度に、和気藹々としています。側でひっそりと聞いていて、話の内容がとても面白くて聞き入ってしまうこともしばしばでした。

日本では、どうやってアートを鑑賞したらいいのか分からないから美術館に行っても楽しくない、という話を耳にすることがあります。私自身も以前はそうでした。でも、イギリスの美術館で、自分の好きに楽しめば良いんだ、ということを知りました。有名だから好きなのではなく、私はこの絵が好き、で良くて、子供達のように、自由にそれぞれの発想で鑑賞して楽しむ。それで十分楽しい空間です。

そういえば先日訪れた日本の美術館で小さな女の子が絵に触れそうになって、肝を冷やす、なんてことがあったのですが、不思議とヨーロッパの美術館ではそういう状況に出くわすこともなかったとも思いました。当たり前にアートに触れている国とそうでない国の違いでしょうか。アートがもっと身近になって、皆がそれぞれの感性で楽しむことが出来ると良いのかもしれません。

後藤