列車の旅の不可欠

列車の旅の不可欠

前回に続いて書かせていただきます。今回の出張はごく短い訪問だったのですが、欲張ってスケジュールを立てたばかりに無理矢理な移動プランも。移動距離が長い時は、車中で訪問先のレポートをまとめるためパソコンは必携。ただ、この日は起点駅からの小1時間は満員電車のデッキで立ちん棒。疲れた上に無駄な時間を過ごしたところなので、ロンドンのPaddington駅からWestburyへ向かう小1時間は意地でも座ってパソコンに向かいたかったのです。しかし、ちょうど夕方のラッシュとその前の電車の運休で車内はかなり混雑。ついてない!

空席を探しながら進行方向へ歩くうち、ファーストクラスの車両まで行きついてしまいました。日本でいうグリーン車です。もちろん私の旅費はファーストに乗る前提で予算を立ててはいないのですが、結局、安息とパソコンを打つチャンスを求め、えいやっとファーストに乗り込みました。まぁ、自腹を切ってもたいした額じゃぁないはずです。そして、さすがはファースト。すべての座席にテーブルがあり(しかもきれいに拭いてある!)、各テーブルの脇にはコンセントの差し込み口。さっそく英国式三つ又のガッチリしたコンセントを差し込み、キーボードをたったった・・・ まもなく車内販売のワゴンが来ました。驚いたことにソフトドリンクやスナックはすべてサービス。ちなみに、隣の4人掛け席の大きなテーブルを専有している紳士はビールが有料とわかると「いらない」と、コーヒーとクリスプスをもらっていました。私は実は体調がいまひとつで、自前のペットボトルの水を飲むために使い捨てコップをもらい、万一あとで具合がよくなったら食べるつもりの米とレンズ豆のサラダのために、「スプーンとフォークなんてないでよよねぇ?」とダメ元で尋ねました。すると、2人のティーレイディうちの1人が、どこかからスプーン、ナイフ、フォークに紙ナプキンのセットを探して運んで来てくれたのです。わー、日本の新幹線(の普通車)みたい!ちょっと感動しちゃいました。

さて、その次に来るは、もちろん検札の車掌さん。自ら‘エコノミー’切符を見せて差額を支払うと伝えました。「ちょっと待って」と言われてからその車掌が首から下げた弁当箱のような機械と静かに格闘すること数分。挙句に小声で「これは結構です、忘れましょう」と。どうもこの機械が不調で精算ができなかったようなんですね。おりしも、夕方のピーク時の乗車で閑散時間帯との運賃の差はおよそ2倍。ファーストクラス並みの値段ではありましたが、得したことに間違いはありません。あの車掌さん、後で思い返したら笑顔で小さくウィンクしていましたっけ。ちょっと英国が好きになる瞬間です。
山岸いつみ