夏休みの読書

夏休みの読書

皆さん今年の夏は、どんな本を読みましたか?

学生たちの夏休みの始まる前に、いくつかの学校から「Reading List」(推薦図書リスト)という、休暇中に読んでもらいたいお勧めの本のリストが出されていました。その中で、Year11の生徒向けの図書からピックアップして、私も久しぶりに、この夏は英語の原文で小説を読んでみました!

選んだのは、グレアム・グリーンの『ブライトン・ロック』(”Brighton Rock” by Graham Greene)。グリーン初期の代表的長編ですが、以前読んだ『情事の終り』(”The End of the Affair”)や『おとなしいアメリカ人』(”The Quiet American”)と全く違ったモチーフのストーリーで、まずはとても驚きました。舞台はイギリス海辺の行楽地ブライトン。そこに巣食う不良少年グループを、悪の化身としてリアルかつ殺伐と描いていて、その対象として登場する少女の純朴さが際立って神聖なものになり、後半、少年の苦悩と葛藤が、痛々しく伝わってきました。思春期ならではの「善と悪」というテーマを、ガツンと突きつけられたようでした。グリーンは本当に、そういうありがちなテーマを、まじめに堂々と用いて、読者の心を打ちます。宗教的信仰心と、人間的な世俗の愛は両立できるのか??どっぷり浸かって考えてみるのも、面白いと思います。

「Reading List」(推薦図書リスト)の中には、他にもたくさん、読む価値のある、特に精神的に豊かな影響を与えてくれる本が含まれていました。エミリー・ブロンテの『嵐が丘』(”Wuthering Heights”)はあまりに有名ですが、イギリスで勉強する機会のある学生には、ぜひ一度は読み通してもらいたいと思う名作です。私も若いころに読んだときの衝撃を、忘れることはありません。世俗の常識は、本当はどうでも良いことではないかと、そういう小説を読んでいると度々思います。人間は本当は、目に見える単純な形でしか愛や信仰を表現できない、つまらない存在ではないはずだと思うからです。

寺岡