挨拶のキス

挨拶のキス

日本人が慣れ親しんだ挨拶の仕方といえば、お辞儀、握手、特に親しい人とであればハグ、という3通りが一般的だと思いますが、日本を離れるといろいろな文化背景を持った人々がいろいろなかたちで挨拶しているところを見かけます。イギリス人の挨拶は他の西洋の国と比べると少々ドライだと思われがちですが、それは空気を読んでいるからとも捉えられます。曖昧なところがあるイギリスですが、フランス語圏のように地域によって頬へのキスの回数が異なったりしない代わりに、お互いの関係性や身分によって挨拶の仕方が異なります。異文化に対する感じ方は人それぞれなので、徐々に自分らしい挨拶の仕方をつくっていくのがベストだと思いますが、情報としてボーディングスクールで体験しそうな挨拶の作法についてお話したいと思います。

先ずは初対面の方との接し方。希望校の先生など、まだ関係性を築いていない方とは握手のみの挨拶をします。注意点は、目上の方が手を差し伸べるのを待たずに自分から差し出してもよいことと、必ず相手の目を見てdead‐fish handshakeと言われる力の抜けた握手はしないということでしょうか。改まった場面では必要以上のスキンシップは控え、利き手に関わらず右手で握手するのがしきたりです。初対面の方でも、ガーディアンファミリーやすでにお世話になっている先生方ですと、握手に加えハグを求められる場合がありますが、イギリス人にとっては親しみが強い行為なので受け止めるのが礼儀になるでしょう。

お友達の親御さんとなると、さまざまな接し方を体験されるかもしれません。初対面では握手やハグだとしても、関係が深まるにつれ、男性から女性、そして女性同士であれば肩に手を掛けながらお互いの頬を右から左に一回ずつ軽く合わせるair kissを求められたりします。頬を合わせる際にチュッと音を出す方もいますが、する必要はありません。男性同士は握手ですませます。また、明らかに年上の方には自分からair kissを求めることはせず、相手が素振りを見せたら受け入れるのがよいと考えられています。求められても右頬に一回の場合が多いようです。頬に直接キスをするのは親子や親族同士との挨拶だと覚えておきましょう!

ここまで説明しましたが、大体のイギリス人は相手の気持ちを察しようとします。相手が違う文化を持った人間だと思うと、遠慮をして握手だけにとどまったり、日本のイメージが強い深いお辞儀をしてくる方にも遭遇されるかと思います。そういった中で笑いが生まれることもあるでしょう。ヨーロッパ圏はひとの動きが盛んで圏外からの移入も多いため、単純に区別するのが困難です。また、パーソナルスペースを保ちたいなど個人的な好みを持った方もいるので、“ネイティブ”の方でも初対面でどう接するか戸惑う場合があります。挨拶はルールではなく、臨機応変に対応するマナーだと認識するのがよいかもしれません。

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