「サステナブル」を考える

「サステナブル」を考える

英国のロイヤルファッションといえばエリザベス女王やキャサリン妃にスポットライトが当たることが多いですが、実はチャールズ皇太子もファッションに対して熱意を持っている人だということをご存知でしたか?昨年末、皇太子によって設立された慈善教育団体The Prince’s Foundationと、イタリアのファッションブランドYOOX NET-A-PORTERが、共同で職業訓練プログラムとしてのファッションラインを立ち上げました。The Prince’s Foundationは「持続可能な社会」を軸とし、伝統工芸、建築、エンジニアリング、デザイン、ホスピタリティ、その他にも様々な分野における教育や職業訓練を志望者のバックグラウンドに関わらず提供する団体です。今回のプログラムには英国、イタリアの両国からファッションを学んだ生徒たちが数人ずつ選ばれ、イタリアがデザインを、英国が縫製・制作を担当しました。立ち上げられたファッションライン名は「The Modern Artisan」。直訳するなら「現代の匠」でしょうか。上質なものを長く使うことをコンセプトとして掲げており、チャールズ皇太子が立ち上げたプログラムというだけあって英国らしいコンセプトだと感じます。皇太子自身も、気に入った洋服を直しながら着用したり、30年ものの靴を手入れしながら履いたりしているそうです!

ここ最近では製品もライフスタイルもサステナビリティがトレンドとなってきていますが、それと同時にサステナブルの意味に対して深慮のないものも目立ちます。天然素材を使用している「だけ」、製造工程でCO2排出量を削減した「だけ」、では表面上の対策としか言いようがありません。天然素材を使用していてもトレンドに左右される服であればきっと来年には捨てられてしまうでしょう。縫製が甘ければすぐだめになってしまうでしょう。英国人が昔から自然に実践している「良いものを長く使う」というのはとてもシンプルでさりげないことですが、真の意味でのサステナブルではないでしょうか。余談ですが、渡邊オフィスのスタッフも洋服を大事にするスタッフが多く、10年選手のニットなどはざらです(もちろん古くてもヨレヨレではありませんよ!)。ボーディングスクールでも野菜や動物を育てて食べたり、学校のエネルギーを自家発電で賄ったりと、学校生活の中に持続可能性を取り込んでいる学校はとても多いです。自分たちがこれから生きていく社会をどう維持・発展させていくかを考えられる環境も、英国のボーディングスクールの良さですね。

The Modern Artisanコレクションの一部

小島