「知る」こととは?

「知る」こととは?

先日、書店にて『東京でイギリス旅気分を楽しむ』というガイドブックを目にしました。コンセプトはタイトル通りで、「東京にいながらまるでイギリスに行ったかのような気分を楽しめるお店や場所の紹介」というもので、アフタヌーンティーが楽しめるティールーム、フィッシュ&チップスのレストラン、英国ファッションを購入できるブティックに英国ゆかりの建築物、英国式庭園など、様々なイギリス関連のお店や場所が紹介されていました。本が1冊できるほど東京にイギリス関連の場所が存在することに驚くと同時に、世間一般的に浸透しているイギリスのイメージと、自分の中のイギリスのイメージとのギャップを感じました。もちろんイギリスには、このガイドブックに掲載されているような素敵で優雅な部分もありますが、当然そうでない部分もたくさんあります。むしろ、イギリス経験者と話して盛り上がるのは、このガイドブックには到底載らないようなことばかり。「ピザをナイフとフォークで食べた」「イギリスで一番おいしかったのは中華料理」「ブレンドコーヒーがカフェのメニューに無い」「日本の様に流行を追ったおしゃれをする人がいないので、結局Tシャツとジーンズしか着なかった」などなど…一般的なイギリスのイメージとは少し違う一面に関することのほうがすらすらと出てきます。

このように、ある国や文化の「イメージ」だけが一人歩きしてしまうことは、イギリスに限らずよくあることだと思います。多くの外国人が「日本にはサムライが存在していて、すぐに合掌してお辞儀する」というステレオタイプなイメージを持っているというのも、その一例です(噓のようですが、本当にそう思っている人もいます!)。情報が手に入りやすい現代においては、なんとなく知った情報をもとに作られたイメージや、メディアが作ったイメージだけで「知っているつもり」になっていることが多いのではないかと思います。実際にその場に行き、暮らし、人と触れ合わないと、本当の意味で「知る」ことはできません。インターネットが世界の隅々まで浸透し、どのような情報も手に入れることができる現代だからこそ、本当の意味で「知る」ことに価値があるのではないでしょうか。

日本から海外へ留学する学生の数が、コロナの影響を抜きにしても、減少傾向にあるといいます。その一因として、上記の「知っているつもり」=「わざわざ行かなくても分かっている」という気持ちもあるのではないかと想像しています。そのような気持ちを持っている人には、世界には想像以上に知らないことが多いのだから、きちんと「知る」ためにも是非留学へ!と伝えていきたいと思います。

小島