「翌年」入学 – Deferred entry

「翌年」入学 – Deferred entry

9月の新学年が始まり、また秋には大学の願書の受付が始まります。およそ1年間かけて行われるイギリス特有の大学受験システムは最終学年の目玉とも言えます。みな一律に5校までの出願が出来るので、この5校を決めるのですが、日本のように好きな数だけ受験出来るというわけではないので、まずは「記念受験」で自分の能力を遥かに越える大学には通常出願しません。 日本のように大学別の入学試験はなく、すべてが全国統一検定試験の点数により合否が自動的に決まるので、受験日を気にして受験校を選ぶ必要はなく、自分が行きたい大学、入学出来る可能性がある大学を考えて5校を選ぶことになります。

これだけでなく、イギリスには「翌年入学」という入学の方法もあります。これは受験で不合格になったから浪人して翌年に受験するということではありません。 受験時期は当該の年であり、志望大学に合格しなければなりませんが、なんとその「合格」の資格を次の年に持ち越すことが出来るというものです。これは皆さんもお聞きになったことのあるGap Yearに起因するシステムで、1年間を大学進学以外での経験を積みたい人の為にあります。例えば、1年間他の国に留学する、実際に社会にでて働いてみると言ったことに利用できます。元々イギリスでは高校の教育を終えてすぐにまた大学で学業を続けることに疑問の声が多くありました。 一旦従来の学業から離れた経験を1年間することにより頭をクリアにしてこそ目標を以って大学での学習に集中できるのではないかという理由です。 多くの学生がこの制度を利用して1年間自由にプラスアルファの経験を得ることを選んでいます。 渡邊オフィスでも過去に発展途上国でボランティア活動をし、その後合格を決めてあった医学部に進んだ留学生もいました。 最近多いのは、この1年間を日本の大学でいわばお試し入学をするという使い方です。渡邊オフィスの留学生のように長年イギリスで教育を受けてきたが、日本でも教育を受けてみたいと思う場合があります。それには大変便利なシステムで、イギリスと日本の大学を併願し、イギリスの大学の席は確保しておきながら日本の大学に入学してみるということが可能になります。その後日本で続けるのも良し、やはりイギリスの教育が自分に合っていると思えば、1年後にイギリスの大学への道が待っています。   「現役合格」という言葉があるくらい日本の階段を着実に上るのを良しという考え方とは違い、人生に良い意味での余裕を持たせ、若者に将来を決める為の時間を与えるというイギリスの考え方はいかがでしょうか? 人生100年になってきた今、10代で急がなくてもいいのでは?

渡邊