わからないかなぁ

わからないかなぁ

「買う本 借りる本」でイギリスの学校では子供たちが自然と読書の習慣がつく工夫がされていてよい環境だといった話題を取り上げています。留学生も読書をしているかどうかで身に着く英語力・語彙力に格段に差がでるといっても過言ではありません。ところが、留学初期は英語力が乏しく、「本のタイトルでさえも理解できない」時期に英語での読書の習慣を身に着けるというのは、かなり難しいことです。

先日まだ留学1年未満のプレップの生徒のために、ある英語の本を読むように指導をしました。伸び盛りで珍しいほど向上心がある子のため、春休み中に読書習慣を身に着けてもらおうと試みたのです。イギリスの学年相応のものはまだ難しいので、1、2つ下の学年を対象とした1冊を提案。ボーディング・スクールを舞台にした、題材としても馴染みやすいものです。彼女が少し読み進めた後にチェックしたところ、語彙も言い回しもかなり高度で難航しているとのこと。それでもめげずに頑張って読んでいたことは大いに褒めつつも、苦しい読書は持続性を持たないので、一旦ストップ。

そこで、次はその生徒の学校のEAL(英語を母国語としない留学生へ教える英語レッスン)の教師に、彼女のレベルに合った本を推薦していただくようお願いしました。素人では見抜けないことも、普段からその生徒をよく知っている専門家なら「ズバリ」な本をピックアップしてくださると思ったのです。ところが約1週間後、GNet経由で届いた本のリストを見て愕然としました。それは彼女への推薦図書ではなく、「小学生にお勧め作家の作品集」だったのです。先生は「ここから、好きなものを選んで。他にもたくさんありますからお知らせいただけたらまたご紹介します。」と。もちろん、同じ作家でも作品により難易度が違い、タイトルからもどの程度のレベルかは割り出せません。仕方なく、小学校から留学経験のあるスタッフが最初に難航した本と比較しながら難易度や内容を細かくチェックし、3冊をほどを抽出して推薦させていただきました。

もちろん、この生徒もあと数か月、1年と経過した頃には読書量も英語力もアップし、自分で図書室から読みたい・読める本を選んでくるでしょう。でも、「そのレベルにたどり着くまで」にもっと丁寧な手助けが必要なことを、EALの先生でさえも解らないのでしょうか。これを機会に、渡邊オフィスの留学生向けに本を推薦していき、いずれ「このレベルの子にはこの本」といった特別な推薦図書リストができるまで頑張ってみようか?と思い立った出来事でした。

 

山岸