イギリスの答案

イギリスの答案

イギリスに留学した当時はすべてのイギリス式のやり方を受け入れざるを得なかったことで、日本のいい所と比較して多少の反発をしていたように思います。ところが留学を終えて日本に住むようになってから、いわゆる「比較文化」と言われる多くの違いを客観的に見るようになりました。

その一つが試験答案の採点法です。日本では答えが正解か不正解か、後者の場合にマイナスで点数が答案の右横に表示されますね。-1とか-2とか書かれているものです。そしてそのマイナスの合計点を総合点から引き算したものが最終得点になるという方式です。つまり減点方式です。それに反してイギリスの採点法は加点方式なのです。

イギリスの答案の多くは記述式で、説明、比較、討議など答案上で知識から引き出した自分の結論を書くのですが、採点の対象となる事柄がどれだけ用いられているかが得点になります。長々と沢山書いてもポイントからズレていたり、ポイントを外したりした場合は得点がありません。ポイントが書かれていると、答案の右横に✔が付きます。そして✔の数で最終得点が決まるのです。

これは日本とイギリスの文化の違いを大変顕著に表していると思います。悪い事を数えるのと良いことを数えるのとは、極論を言えば、思考の上でネガティブかポジティブかということです。この採点法からも分かるようにイギリスは良い面を探し出し、それを褒める。なぜ悪い面を指摘しないのかとイギリス人に聞いた答えは、悪い面は指摘しなくても自分で分かるからだとのこと。まあ悪い所も言われなければ分からないと言う反論はありますが、やはり良い面を強調することで得られる自信ややる気を考えるとこちらのメリットの方が高いのかもしれませんね。

このようにその国の思考とあらゆるルールには密接な関係があると思います。皆さんも色々見つけてみてください。面白い発見がたくさんありますよ!

渡邊