イギリス人のリフォーム

イギリス人のリフォーム

ここ最近、コロナの影響でGNetが行うホストファミリーの家庭訪問がバーチャルになることも頻繁です。バーチャルの場合は家の中を隈なく撮影したビデオや、様々な角度から撮影した多数の写真が提供され、趣向を凝らした設えや内装を見るたび感心します。一般的にイギリス人にとって衣食住の中の「住」の比重がとても大きいことは、ご存知の方も増えてきていることでしょう。

それだけに、頻繁に自宅のリフォームや増築をする人が多いのもイギリス。留学生のホストファミリーの中でも、「この中間休みはキッチンを丸ごと替えるのでお泊りができないの、ごめんなさい」とか、「ベッドルームを改造中なので」とか、日常的に聞かれます。リフォームもメジャーなものからマイナーなものまで、自分の手でやる人もとても多く、いわゆるDIY王国でもあります。

私が何十年も前にお世話になったホームステイ先は、市街からほどないテラスハウスの一角、屋根裏部屋付きのいわゆる2LDKでした。リノベしたばかりの居内は明るいトーンでまとめられ、聞けば、家のほとんどの壁紙は家主の奥さんが張り替えたというので驚きです。その腕を見込まれ、彼女は隣家の奥さんにキッチンの壁紙の張替えを手伝う約束をしたそうなのですが、子供二人の働くシングルマザーの彼女にはなかなかその時間が取れずに数か月が経過していました。しかし、それをすっかり忘れた頃のある晩帰宅すると、彼女は弟カップルに子ども達のベビーシッターを任せ、ついに隣家の壁紙張替えに行ったといいます。毎週流れていた約束をやっと果たし、ホッとした様子でした。その後、今度は彼女が長年替えたくてうずうずしていたリビング絨毯を張替えに、隣家のご主人が来てくれると予告を受けたまま、私の滞在中に彼がやって来ることはありませんでした。また、彼女の実家のご両親が家のキッチンのリフォームをするので翌週は毎日夕飯を食べに来るよと聞いたきり来なかったり、と何かと「進まないリフォーム」の話を耳にするようになりました。それだけでなく、注文した壁紙が入荷しない、暖炉周りの新しいタイルの数が足りない、アテにしていた友達が怪我をした、と、何らかの理由で待機時間が過ぎていくケースも。日本なら業者に注文して速やかに完成するところですが、イギリスのこのもたつき感が何となく微笑ましく思えたものです。

そんなわけで、多くのイギリス人は自分達でリフォームを手がけており、それは何か月も何年もに及ぶ場合が多いようです。時間のかかる理由の一つには、「隣の人が手伝ってくれるのを待っている」ケースもあることを、忘れてはいけません。(笑)

山岸