イギリス人は傘をささない!?

イギリス人は傘をささない!?

イギリス人は傘をささない!そんなイメージはありませんか?私自身イギリス留学から帰国したばかりの頃、雨の日に傘をささずに歩き、友人にすっかりイギリス人みたいだね、と揶揄われた事を鮮明に覚えています。イギリスは雨が多い、けれど、ちょっとした小雨では皆な傘をささない、そんなイメージが定着している気がします。

日本の学校では課外授業や小旅行に出かける際、持ち物に必ずと言っていいほど「傘」と書かれていますが、イギリスのボーディングスクールの持ち物リストで、傘という記載を見ることは滅多にありません。代わりに持ち物リストには、ウォータープルーフのコートやウェリントンブーツと書かれているので、傘をささずに雨を凌げるグッズが重宝されているのですね。

そんな傘をささないイメージのイギリス人ですが、実は「雨傘」を世に広めたのは、1人のイギリス人だった、という逸話があるんです。

まだまだ「雨傘」がヨーロッパで定着していなかった18世紀頃、ジョナス・ハンウェイという1人の冒険家が、ペルシャで見た雨傘に感銘を受け、雨の日にロンドンの街中で傘をさして歩いたそうです。彼を見かけた人々はその大胆な姿に驚き、嘲笑を浴びせました。傘は女性のファッション小物、そんなイメージの強い時代に、傘をさして歩くハンウェイは、女々しい奴とか変人として人々の笑いの対象となってしまいました。また、雨の日に傘を使うことが流行ってしまうと、馬車が不用になってしまいのでは!?と焦った御者達は、ハンウェイの傍に馬車を走らせ水溜りの泥水をわざと飛ばすなど、嫌がらせを繰り返したそうです。

そんな嘲笑や嫌がらせにもめげず、ハンウェイは傘をさし続けました。苦節30年、めげずに傘をさし続ける彼の姿を見て、徐々に雨傘の実用性が認められ、ついには彼のスタイルが「ハンウェイ風」として流行り始めました。そして沢山の英国紳士がステッキの代わりに傘を持ち歩くようになり、その姿は英国紳士の象徴として世界中に広まり、ヨーロッパ風の雨傘が一気に世に知れ渡ったそうです。ロンドンの道端には、傘巻き職人なんて人も現れたそうですから、大きな変化ですよね。1人の粘り強い男性の行動が、世間の常識を変えたわけです。
ハンウェイがいなければ、もしかするとイギリス人は、今以上に傘をささない国民になっていたかもしれませんね。

中村