カード文化

カード文化

5月9日は母の日でした。日本はカーネーションが花屋から売り切れる日ですね。インターネットによれば、カーネーションを贈るという習慣はアメリカから来たようで、イギリスの母の日にカーネーションのイメージはありません。イギリスの母の日は復活祭の3週間前と決まっていて日本より早く今年は3月14日でした。この母の日そして父の日もイギリスに存在します。ちなみに父の日は今年は日本もイギリスも6月21日です。

さて何をプレゼントしようか・・・と毎年悩む方は多いと思います。イギリスではこれらの特別な日、バレンタインも誕生日もプレゼントよりも前にまずはカードを送ることを人々は考えます。イギリスでカードショップにいらしたことはありますか?一番見つけやすいのは列車の主要駅の構内です。必ずと言ってよいほど、ステーショナリーショップという簡単な文具を売る店にカードが置かれています。その種類たるやスゴイ数で、真面目なものからウィットに富んだものまであり、一つ一つ読んで吟味していたら、列車に乗り遅れてしまう!と言うくらい駅での楽しい時間潰しになること請け合いです。誕生日はすべての年齢用、用途も様々で「カードを送るのが遅くなってごめんなさい」カードなんというものまであります。一番多いのが「Thank you」カード。日本だとお世話になったらお礼に物を贈るという発想ですが、イギリスはまずはお礼状=Thank you カードで感謝の意を伝えます。逆に無暗に贈り物はしません。ですからこのカードは何枚かパックで売られていることが多く、その使用頻度が伺えます。メールで何でも用が済んでしまう現代でもやはりこのカードの習慣は変わりません。イギリスの家庭を訪問すると、居間の暖炉の上に飾ってあるカードをよく目にすることがあり、心温まる風景です。

日本のカードは習慣化されていないせいか種類も少なくて残念です。私はイギリス出張の折には学校訪問で列車を使うことが多いので、必ずカードショップを訪れ買い溜めをしておくのですが、昨年からのコロナで出張が出来ず、カードの在庫も尽きてきました。あるイギリス在の日本人の方が、日本にいる母親に5月の日本の母の日にカードを送るために早々と3月に購入しておくのが習慣だと語っていました。そう言えば、私も留学生だった頃に日本の母のためにイギリスの母の日にカードを買っておいたことを懐かしく思い出しました。

せっかくのイギリスの習慣ですから、留学生の皆さんもお世話になっているホストファミリーや良く招いてくださる友達の家族、先生、または日本のご両親にカードを送ってみてはいかがでしょう。メールとは違う味わいの感謝が伝わりますよ!

渡邊