ファーストネームの短縮

ファーストネームの短縮

イギリスでは新学期が始まって既に数週間。新しい学校に入学した子も、新しい寮やクラスに配属された子も、段々と先生や学友の顔と名前が一致してくる頃ではないでしょうか。そんな中で、休憩中のオフィスで話題に上がった、海外での「ファーストネーム」に対する柔軟性の話。日本は、あだ名という観点から言えば多様かつ受容的な国ですが、襲名などをしない限り、親に名づけられたままのファーストネームで一生を過ごすのが当たり前ですよね。欧米で多いのは、正式名(例えばThomas)を命名した後に、その子の風貌に合う、呼びやすく愛着がわくファーストネームの短縮形(例えばTom)を選ぶ風習です。下記の短縮例にあるように、えぇ、こんな風に短縮しちゃうの?と疑問を持つものは少なくありません。

Alfred       Al, Alfie, Fred, Freddie
Alexander      Al, Alec, Alexa, Alexis, Alex, Eck, Lex, Lexie, Sandy, Xander, Xa
Beatrice       Bea, Triss, Trixi, Trish
Katherine      Kate, Kathy, Kat, Kay, Kitty, Katrin, Katrina
Christopher      Chris, Criffer, Kit, Topher
Elizabeth       Eliza, Betty, Lib, Libby, Liz, Lizzie, Lisa, Liza, Beth, Bess, Besse, Bessie, Betsy
Edward       Ed, Eddie, Ted, Teddie, Ned, Woody
James      Jim, Jimbo, Jimmy, Jamie, Jay
Nicole       Nikki, Nickie, Nicki, Niki, Nikky, Nici
Victoria      Vic, Vicky, Tory, Tors, Vika

昔から聖書の登場人物や実在した英雄のファーストネームを付けたがる習性があり、そうなると選べる名が限られたため、多様に呼べるよう様々な短縮形が生まれた、という理由があります。実際は、口頭では幾つもの短縮形を重複して使用している人も多く、その中で「正式な短縮形」が存在する、といった感じです。また、面白いことに、ほとんどの人が頑固なほどに短縮形の名で自己紹介をするため、長年の知人でも正式名を知らないなんてことはざらにあります。ファーストネームだと思っていたのが、ミドルネームだったなんてことも。。学校では、こういった混乱を避けるため、親が子供を登録する際の資料にpreferred name、いわゆる優先して使用してほしい名を記入するよう指示します。今まで、日本から出発する皆さんのお子さんたちには縁がない話だと思い込んでいたため、わざわざ案内をしていませんでしたが。

ここで、ひとつ皆さんに注意したいことがあります。(特に)イギリス人は、自分の正式な短縮名に誇りを持っています。正式名を知っているからといってやみくもに短縮して呼んだり、短縮名のスペルを一文字間違ったりなんかしたら、顔には出さないかもしれませんが、心の冷静さは乱れていると思ったほうがよいですよ!

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