Does the suit suit you?

Does the suit suit you?

日本の学校でもイギリスの学校でも、身だしなみは非常に重要です。ボーディングスクールからのお便りでも「スカートの長さを勝手に変えてはいけません」「髪が長い人が多いので、外泊週末の間に必ず切ってきてください」「暑いので、特例として袖まくりを許可します」など、身だしなみに関するお便りは季節を問わず届きます。

究極の身だしなみといえば、スーツですね。スーツをスマートに着こなしている人は、言葉を交わす前から好印象を相手に与えます。ボーディングスクールの6th form(12、13年生)の服装も基本的にはスーツとなっています。6th formになると、大人になって自立して生活をする準備として様々な面で自由が与えられ、それと引き換えに自主性と責任が求められます。6th formの生徒のみの寮を用意し、大学に進学して一人暮らしをすることを想定した予行練習ができるようにしている学校も少なくありません。ボーディングスクールにおいて「スーツを着用する」ということはただ単に上級生であるということを示しているわけではなく、もうすぐ自由と責任を背負った「大人」になるということを生徒自身に自覚させ、自立心を育むという大事な役割も担っています。

ところが、つい最近イギリスで、そのスーツを着用したティーンエイジャー(ボーディングスクールの生徒ではありません!)たちによる珍事が起こりました。ファミリー向け映画の上映中に、他の人が鑑賞を続けられないほどの大騒ぎをするという迷惑行為に及んだのです。映画に拍手や歓声でリアクションするのは欧米では一般的ですが、あまりにも度が過ぎており、ニュースで報じられるほどでした。当事者たちによると、きちんとした大人の格好をして子供向けの映画を観るというギャップに面白さを感じた末の行為だったようですが…くれぐれも「スーツを着用する」ということの意味を履き違えないでほしいですね。

小島