夏は「暑」くて「熱」い

夏は「暑」くて「熱」い

イギリスは毎夏、日本は暑さ真っ盛りの8月に大学受験の発表があります。コロナで過去2年実施されなかった検定試験も今年は例年通り行われ、その結果とともに大学の合否が発表になりました。日本と季節が違うものの合否発表の風景は同じで「合格の喜び」を現わす「熱い」写真が新聞を飾ります。

実は、イギリスと日本の大学受験とはまったく異なるため、渡邊オフィスでは最終学年になる2年前から学生への指導を始めるのですが、毎年感じるのは親子の「大学」というものに対するそもそもの考え方の違いです。まず日本は大学の「全入時代」と呼ばれるだけあり、日本人の認識が「大学は行くものである」「大学は一応出ておかなければ」と感覚が当たり前。これが日本の親の常識になっています。片やイギリスはこの50年で大学の数は2倍以上に増えたものの「まずは大学を出なければ・・・」という発想がなく、あらゆる分野での資格の宝庫でもあるので資格取得でキャリアを構成することが可能。故に本人の希望する将来のキャリアによって大学進学を選ぶか否かが選択されています。大学=高等な学問ですから、もちろんそれを選択しない数の方が圧倒的に多いことになります。

次に違うのは大学の選び方です。極端に言えば、日本では「有名大学」にどうやって入るかが最大の関心事で、多くの場合まずは大学を選び、それからその大学にある専攻を選ぶという順番。何を勉強したいのかは二の次になりかねません。まったく逆を行くのがイギリスです。イギリスの大学の専攻(コース)は無数にあり、すべて一年次から専門課程なので、自分の学びたい、将来やりたいことを考えることから始まり、それを叶えてくれる大学およびコースを探すのが先決です。つまり何をやりたいかは分からないが「何となく大学に入る」ということ自体が出来ない仕組みになっています。

これだけ違うのですから、日本的に考える親とイギリスで受験しようとする子とのギャップが大きいのは言うまでもありません。辞書を開けば「大学=University」と書いてあるわけですが、一口に「食べ物」と言っても世界各地違うように、その中身は大きく違うという認識を持っていることが大切だとつくづく思います。

渡邊