教育者の姿

教育者の姿

今年最後の大きなイベント、恒例のイギリス留学セミナーが終わりほっとしています。お集まりいただいた約100名の方々は長時間にもかかわらず、ほとんどの方が最後まで熱心に耳を傾けてくださり、主催者も努力の甲斐あり・・・と感謝です。

今年の英国からのゲストは、プレップスクールの一つであるWindlesham Houseの校長Mr Fosterでした。「将来を担う子供たちを育てる」という教育においてあまりにも当たり前のこと、しかし実際には難しいことをストイックなほど遂行する姿勢が彼のスピーチの中で伝わってきました。聴衆からの反応にもそれが表れてはいましたが、通訳が必要なだけになかなか真意がつたわらなかったのでは・・と若干心配ではありましたが・・・

実は、校長先生というのは学校という先生のテレトリーで会うときと外で会うときとでは、違うことがままあり、それがその学校を見る一つの基準になることもあります。セミナーの次の日に日本事務所で行われた個人面談のあと、私たちは先生にわずかな時間だけでも東京を見ていただき、ゆっくりと和食を味わっていただくために街へ繰り出しました。東京の地下鉄も経験の一つと思い、一緒に乗り座ったのですが、車内が混んでくるやいなや、先生がいきなり立ち上がり目の前に立っていた女性2人(30~40代)に席をお譲りになったのです。私の英国との付き合いも40余年と長くなりましたが、昔は多かったこの手のGentlemanが少なくなっていることが残念です。久しぶりに見る、それも東京で、光景になんだかとても嬉しくなりました。但し、「席を譲られるのは老人」が定番の日本では、譲られた女性の方が複雑な心境。なかなか座らない女性を前に不思議そうな先生に私達が「文化の違い?」を説明するというちょっと可笑しいシーンにはなってしまいましたが!

英国のプレップスクールの校長夫人というのは、とても重要かつ忙しい存在です。生徒みんなのお母さん代わりだから。Mr Fosterもそれはそれは奥様に感謝していらっしゃるのですが、「自分のやり方、スピーチの内容などすべてにおいて、それが辛口であっても彼女がベストな批評家であり、校長職をする上では不可欠な存在である」と語られていたのが印象的でした。このお互いに信頼と尊敬をもったご夫婦のもと、ここの生徒はきっとHappyだろうな?と思えるエピソードでした。

渡邊 和子