文武両道

文武両道

先日、とある新聞で、「部活と勉強 両立するか」というタイトルに目がいった。「スポーツを教育に結び付けて文武両道を目指すのは世界中で日本だけ」をの下りを読んで、心の中でツッコんでしまう。「そうなの?イギリスだって目指してるはず」。いつもイギリスの教育を説明する時にそう語っている自分としては、ドキっとした。

ある研究者によると、戦後日本は軍国主義教育から脱却して子どもの自主性を伸ばすために部活動を推進してきたのだそう。他の研究者のリサーチによれば、部活を頑張った子どもに自主性が育っているかどうかについては、それなりの結果は出ているようだ。つまり、部活を頑張った人は人間的により成長し、試験前の集中力や生活にメリハリがついて高校3年夏の引退後の学習時間が確かに多くなるそうだ。だた、引退まで不足していた学習時間を克服して大学受験に成功するのは簡単ではない、とある。これって、つまりは学習と運動の両立ができてないってことなのか?

でも、その次に部活を頑張りながらも東大現役合格したという学生らの実例を読み、両立が可能だという証明がされている。東大に多数合格者を出す進学校の校長らの統一意見では、課外活動は大いに賛成。ただ、学業との両立は「タイムマネジメントが成功のカギ」だそう。ということは、もちろん両立できるかどうかは子どもによるということになる。イギリスのボーディングスクールにいる生徒らの生活を想像してほしい。朝から寝る時間まで一日の同じ持ち時間は平等。制限時間のある中で勉強も課外活動も不足なく継続することが当たり前。最初は失敗しても、徐々にその忙しさに頭も体も慣れてくる。もちろん勉強に影響するからスポーツを辞めなさいなんてアドバイスは見たこともない。まさにタイムマネジメントを入学当初から身体で習得していくわけだ。

そもそも、イギリスは勉強か課外活動か、どちらか一方を諦めて時間を作るという発想がない。だからイギリスの学校でわざわざ文武が両立するかを語る人なんていないんだ。次回のセミナーからこう説明しようと思う。ここまで来てスッキリし、その新聞は古紙回収用の棚に収めることができた。

山岸