新年あけましておめでとうございます

新年あけましておめでとうございます

2020というゴロの良い年の始まりです。第一回目の東京オリンピックの翌年に留学した私にとって、今年開催される第二回目の東京オリンピックと言うのは、一つの世代が終わったようにも感じます。何しろ、モノレール!首都高速!カラーテレビ!と見たこともない文明の利器とも呼ばれる一つ一つに歓喜の声を上げていた日本からある意味レトロなイギリスへ。まだまだロンドンでは生粋のイギリス人が住み、イギリス英語が話されているのが当たり前の時代でした。確か東京にも「外国人」は大変少なかったと思います。当時イギリスでの日本人の数は600人。今は何と7万人。ロンドン市の人口の7割が外国人でまともな英語が聞こえないというのも頷けます。今日本が向かっている方向とどこか似ていますね。日本もイギリスが歩んできた道を少しずつたどろうとしているのではないか・・と思えるこの頃です。

 

この間の私にとっての驚きはネットを使ったスカイプやラインの国際通話の無料化です。はらはらドキドキしながらバカ高い国際電話で親と年一回話すのがせいぜいだったのが嘘みたい! これだけで外国との距離がグンと狭まり、留学ももはや「遠くに家族と離れて行く」という感覚からかなり違ったものになってきました。留学の良さの一つが母国や家族と離れて自分の足で歩くことですから、この便利さの良し悪しもなかなか判断が難しいところです。

 

こうやって月日が激しい変化をもたらしたものもありますが、イギリス人のクリスマス休暇の過ごし方はあまり変わりません。24時間開いているコンビニもなく、年に一度全家族が集まって祝うクリスマス、年末年始は穏やかで静かです。学校でも時代の先端を行く、ITのありとあらゆる施設満載にも関わらず、未だにキリストの降誕劇やキャロルなどの伝統を保ち、子供達に便利な未来と継続すべき伝統を与え続けています。最新の設備と同時に留学生の子供達がイギリスにいると自分のことを考える時間が多く、ゆったりとした生活が出来ると言うのは、この静と動との微妙なバランスのある生活だからではないでしょうか。

 

日本も様々な面で行き過ぎた便利さを憂い、人間らしい生活に戻そうとする感覚も出てきています。オリンピックを控え、日本はどのような道をたどるのか、興味津々の一年になりそうです。

 

渡邊