留学で得られるもの

留学で得られるもの

日本政府の“グローバルな”人間を育成する構想の一部となる英語教育改革では、2018年度より小3からの教科化、そして小5からの必修化が起動します。「読む・聞く・話す・書く」の4技能を育む授業を効果的に構成し、早い段階から英語を好きになれる授業をリードできる教師を3年後までに大量に確保するのは並大抵のことではありません。今後どのように展開していくのか、目が離せません。

ですが、結局のところ、独自の育った環境や経験から培われるアイデンティティを育て上げつつ、他の文化にも興味を持ち、自と他の違いを称賛できるのが、どの土地に行っても尊敬に値する人間なのではないでしょうか。他の思想や技術を自分のものとして習得できる日本、かつおおよそ単一文化社会を保つこの特殊な日本で、語学として英語を教科にただ取り入れたことで、堂々とあらゆる人と対等に渡り合える人間を造り出すのは少々ハードではないでしょうか。先走って語学とその文化を学ぶばかりではなく、自分の生い立ちについての自覚をしっかりと持たせる教育改革も同時に進行することに大きな意義があると思います。

小5からプレップスクールに編入した身としては、国として多文化なイギリス、その中でもわずか0.8%の生徒が集うボーディングスクールで、珍しい日本からの生徒として、日本の生活様式、歴史や政治等の質問を受け、そして徐々に肌で感じることとなった歴史の深いヒエラルキー社会の存在により、自分のアイデンティティについて考えさせられる機会を多く与えられました、ありがちな表現ですが、安全地帯から個として飛び出すと、多くを会得すると共に自我の探究心も芽生えます。その芽は、日々のボーディング生活によってより生かされ花開くのではないかと思います。“語学”学習または“語学”留学では全く枠に収まらない知識と知見が得られるのです。

*渡邊オフィスでは、4月29日、5月2~6日の期間、GWはカレンダー通りに休業とさせていただきます。ご了承のほど、よろしくお願いいたします。

矢部