自転車に乗って

自転車に乗って

ボーディングスクールから「自転車持ち込み」をしたいかどうかを問う手紙が来ることがあります。学校の敷地が広いので、自転車で学校内を移動したい生徒もいるということなのでしょう。緑あふれる学校内で風を切って自転車に乗るというのは想像しただけでうっとりします。

でも都市部ではどうでしょうか。10年ほど前のロンドンで、友人が2年後にオリンピックの中心となるイーストロンドンからロンドン中心部に自転車通勤を始めるというので、「へー命がけだね、生命保険かけたの?」などと笑っていました。あまり広いとは言えず、交通量の多いロンドンの道で、あの2階建てバスの横をすり抜けて行くには、ママチャリなどは全く適しません。高価なマウンテンバイクが必要となってくるのですが、今度は多発する盗難がまた問題です。道路標識やガードレールに太いチェーンでまきつけても、そのチェーンを切られて盗難にあってしまうのです。盗難防衛策として、自分の自転車の車輪を1つはずして持ち歩いている光景もロンドンで見かけたことがあるほどです。

その解決策!とばかりにロンドン交通局がこの2010年になんとレンタルサイクルを始めたというから驚きました。これは「Barclays Cycle Hire」と呼ばれ、Barclays 銀行は(1ポンド1400円で計算すると)350億円もの出資をしているそうです。14歳以上の英国居住者ならインターネットで会員になることができ、レンタル期間は1年、1週間、24時間を選べるそうです。現在すでに5万人以上の会員がいるとかで、費用は1年で£45、ロンドン内330箇所のステーションで借りたり戻したり出来るのだそうです。つまり家の近くのAステーションで借りて、職場近くのBステーションで返せば良いのです。仕事の帰りに飲みに行ったら、自転車の心配をせず、タクシーで帰ってくれば良し。これなら盗難の心配も減るし、すごく便利なように感じますが、やはり心配は道路上での安全性です。自転車専用道路は増設されたのでしょうか。ニュースでは2階建てバスの運転手に「自転車はこう動く」と教えていました。だいたいあの大きいバスから自転車が見えるのか、とても不安ではありますが、写真を取るとしたら、あのバスと並んで走ることができるのは魅力的かもしれません。もうすぐ英国居住者以外でもスポットで借りられる制度が出来るそうです。次回渡英の際は自転車に乗ってロンドンの街を颯爽と走ってみまるのもよさそうですね。
吉岡真樹