読書の秋

読書の秋

10月に入り、ふと気が付けば日も短くなり、すっかり秋めいてきましたね。秋といえば?と問われれば「食欲の秋」「スポーツの秋」「芸術の秋」…様々な秋がありますが、留学生たちにとってはやはり「読書の秋」だと思います。英国文学の名作は数多くありますが、「シャーロック・ホームズ」シリーズほど様々な国で様々な解釈・リメイク・映像化をされてきた作品はないのではないでしょうか。私立探偵である主人公のシャーロック・ホームズは頭脳明晰で鋭い観察眼を持ち、射撃、変装、バイオリンの達人でもあり、フェンシング、ボクシングの腕はプロ並み。煙草の灰や靴についた土の種類を見分け、煙草の産地や靴の持ち主がどこからやってきたかを当てることができるなど分野にとらわれない幅広い知識を持つ、非常にユニークなキャラクターです。初めてシャーロック・ホームズの本に出会った時、このキャラクターに魅了され、夢中で読んだのを覚えています。

100年以上にもわたって世界中の人々を惹き続けてやまないホームズですが、キャラクターの特徴がかなり多岐にわたっているため、一見一貫性がないような印象を受けます。作者のアーサー・コナン・ドイルがいかにしてこのようなキャラクターを創作することができたのか。長い間疑問に思っていたのですが、答えの一部はドイルの経歴にあるのかもしれません。実はドイルはイギリスのボーディングスクール出身なのです。留学生の親御様はご存じかと思いますが、ボーディングスクールではプログラミング、乗馬、射撃、チェス…数えきれないほど様々なアクティビティが経験できます。それに加えてボーディングスクールの教育は日本の詰め込み教育とは違い、子供の好奇心や興味を大切にし、考える力を伸ばすことを重視しています。ドイルがボーディングスクールでの自らの経験・知識を膨らませ、小説の主人公に反映させていたとしたら、ホームズのキャラクター設定にも納得がいきます。彼はあくまでも架空のキャラクターなので少々現実離れした部分もありますが、それでもボーディングスクールの特徴を携えた人物だと言えるのではないでしょうか。

シャーロック・ホームズシリーズはすでに著作権が消滅しているので、インターネット上で無料公開されている作品が多くあります(青空文庫:青空文庫 Aozora Bunko)。秋の夜長にぜひ読んでみてください!

小島