遊び心を忘れずに

遊び心を忘れずに

日本は「新しい物好き」であり「テクノロジー好き」でもありますが、残念ながらそれらがあまり反映されていないと感じるのは教育の場面です。

去年の3月、突然のロックダウン+1学期の学校閉鎖にびくともせず、リモート授業を成功させたのはイギリスのボーディングスクールであり、残念ながら日本の学校は大きな遅れをとりました。テクノロジーを使いこなすことも大事ながら、そもそもリモート授業という全く新しい勉強方法がすんなりと浸透した理由の一つに、日頃から積極的に新しいアイディアや最新の情報を取りいれるイギリスの教育が根本にあると思います。

例えば歴史といえば、必ず縄文時代からスタートし、近代史はぎりぎり最後にカバー、というのが昔からの一般的な日本の授業ですが、イギリスでは歴史を時系列で学ぶことはせず、比較的近代史を中心にその中の特定の時代を取り上げて集中的に学ぶやり方をしてきました。暗記力が高い人=歴史が得意、という日本のイメージに対し、イギリスでは分析、解析能力が高い人が歴史を学ぶ傾向が高く、イギリスの政治家の多くが歴史を大学等で専攻しているのにも頷けます。

美術では低年齢からも積極的に現代アーティストについても学びます。先日あるプレップスクールの低学年の作品に、草間彌生のアイディアをベースに生徒達が描いた様々な絵がありました。使っていた画材も絵のモチーフもすべて自由。「ドット」というアイディアだけで生徒の想像力を無限に伸ばす方法は日本の美術の授業と比べても斬新です。

読書に対する考え方にも大きな違いがあります。イギリスで読書は日常であり、楽しむものというのがコンセプト。ランチ後に読書時間を設ける学校は多く、読むのが不得意な生徒にはオーディオブック、本の返却時にその内容について先生との一問一答で答えられなければ本を返せないルールがあったり、SNS上で物語の続きを作り内容の面白さを競うコンテストなど。日本の学校で読書感想文を書くためだけに必死に本を読んだ自分もこうやって読書が楽しめたらもう少し本好きになれたかも!?と思います。

今このコロナの時代でイギリスの教育もまたさらに進化している中、日本の教育も本来の新しい物好きな「遊び心」を持ってもっと変わってほしい感じます。

鐵屋