コンラン卿

コンラン卿

今年は日本の著名なデザイナーが相ついで亡くなり、その方々の功績を辿ってはデザインという分野がいかに世の中に影響を及ぼしていたのかを知る機会ともなりました。イギリスでも去る9月にテレンス・コンラン卿の訃報にその功績の偉大さをあらためて確認し、同時に時代の一区切りを感じた人も多かったかもしれません。

彼はイギリス内外にデザインを通じてビジネスの可能性や二者の融合を常に発信していた人のようです。東京の西武百貨店がコンラン卿との提携でインテリア専門のハビタ館をオープンしたのが1980年代前半といいますから、デザインの先端は海外からの“輸入”に頼っていた当時の日本に、それはそれは画期的な新風を呼び起こしてくれたことでしょう。ただ、「コンラン」さんの名前が日本である程度市民権を得たのは東京に「コンランショップ」ができてからかもしれません。かくいう私も新居引越しにあたり、コンラン氏監修のインテリア本を買いあさり、トイレとペーパーホルダーからスプーンの1つまで、ショップに何度も足を運んで選んだ思い出があります。そこは一日過ごしても飽きないほど心躍るアイテムがぎっしりの空間でした。

コンラン卿が、ある有名パブリックスクール出身であることは、この業界ではある程度知られたことなのですが、仕事柄、気になるのは彼がその前にどこの小学校へ行ったのか?です。見ると、期待通り、しっかり私立小学校=プレップスクール出身ではありませんか。彼の2人の息子もデザイナーで、お父様と同じパブリックスクール出身でした。ついでに次男の出身小学校はお父様とは違いましたが、こちらも有名私立小。ちなみにお父様と長男はロンドンのセントラル・セント・マーティンズいう、デザインにおいてはイギリスにおける美術大学の最高峰に進んでいます。

この3人の行ったボーディングスクールは、3校とも実は渡邊オフィスではどれもお馴染みの学校です。イギリスには代々パブリックスクール出身という家系もまだまだ多く、時代の最先端を進んだコンラン卿も、自身の子育てには伝統を取り入れていたことを知り、嬉しくなりました。

山岸