大人への階段

大人への階段

18才で選挙権が得られるという決定から、では飲酒もいいのか、に始まり賃貸住宅の保証人はいらないのか・・・等々、様々な憶測と疑問が出てきています。「法律的」にどうなのかは正確な指針がおおいに必要ですし、何が許されて何が許されないという知識も知らなくてはならないと思いますが、そもそも18才で「大人と認められる」ということを子供達はどの様に理解しているのか、そして教育の現場でその準備がされているのかが疎かになっているような気がします。

何故かというと、イギリスの教育を受け、それを仕事として扱っているうちにこの「大人への階段」の重要性が分かってきたからです。イギリスの中等教育の最後の2年間、年齢的にいわゆる日本で言うところの高校2年、3年生は高校1年生までとはかなり違う扱いをされます。ただでさえ、日本の教育現場ではまだまだ指示偏重の受け身の生活が中心です。イギリスでも、若く何も知らない子供達に「教える」ことはしますが、もっと自由裁量でその結果がどうなるかを失敗から学ばせる姿勢を取ります。イギリスの学校で通称「6th Form」と呼ばれる最後の2年間はその集大成とも言える期間。その後に待っているのが「大人として扱われる」社会ですから、この2年間でしっかりと社会でどのように振舞えば良いのか、自己責任とは実際どういうものなのかをまだ「学校」という守られた中にいる間に経験させるのが目的です。例えば、実際に6th Formになると、起床、就寝の時間も自由になり、制服着用のルールもなくなります。夜遅くまで起きていて、朝起きられないとどうなるのか・・授業に遅れたり、出席しないとどうなるのか・・・制服が無くなるということは自分でTPOに合わせて装う必要が出てきます。授業にジーンズで参加することは教えてくださる先生に失礼な行為ですし、食事会やパーティなどにも主催者の立場や周りとのバランスも考えなければなりません。日本では失敗するとさらにシビアなルールを課す方向に向かいますが、イギリスは真逆で、自由を与えることによって自分を自分で守ることに気づくことを教えるのです。

実はこの何気ない日常の変化が大きく子供達を成長させます。6th Formになって一年後に子供達に会うと、そこには一回りも二回りも精神的に大人になった彼らを発見します。渡邊オフィスは小さい頃から彼らと一緒に「留学」という道を歩んでいるので私達の嬉しさも一入です!

渡邊