SDGsとイギリス

SDGsとイギリス

最近、サステナブルやSDGs等という言葉をよく耳にするようになりました。

持続的(サステナブル)な社会を目指すための目標(=SDGs=Sustainable Development Goals)を決めるという取り組みは、世界中で広がっており、いまや環境意識や人権意識の高い人たちだけのものではなく、幅広く広がりを見せています。

特に、欧州はそういった動きについて敏感かつ意欲的です。特にイギリスは、国の資金調達である手段である国債の一つとして「環境債」や「グリーンボンド」等と呼ばれるものが発行されたそうです。これらの債券によって集まったお金は、地球にやさしい環境を整備するための政府事業だけに使用されます。

https://jp.reuters.com/article/britain-bonds-green-idJPKBN2GH29P

投資家の間では、普通の国債よりも人気の商品になっており、その結果イギリス政府は普通の国債を発行するよりも効率的にお金を調達できた上に、環境にやさしい社会が実現することも出来て、一石二鳥!となるはずですが、実は最近こうした持続的社会を目指す取り組みが歪みを生み出しつつあります。

たとえば電気料金。欧州の全域で、電気料金が大幅に値上がり始めています。石炭などのCO2を排出しやすい材料を使った発電から、CO2を排出しにくい風力発電や天然ガスを使った発電にシフトが進んでいるのですが、不幸にも今年は欧州であまり風が吹かなかった結果、天然ガスの需要が強くなり、ガスの値段が急騰しています。

もちろんCO2を排出しやすい発電方法を選択することもできるのですが、その場合「CO2を排出する権利」というものを購入しなければならず、これまたその権利を買うための値段が値上がっている為、そ結果として、欧州各国で電気料金が大幅に値上がってきています。

https://wedge.ismedia.jp/articles/-/24397

イギリスでも電気料金が値上がってきており、電力会社の発電コストを電気料金に転嫁しきれず、複数の電力会社が破綻する事態にまで進展しています。当然ながら、広大なボーディングスクールを運営するために電気は無くてはならないもの、このまま電気代が上がれば、影響なしとはいかないように思います。

環境にやさしい社会を目指すつもりが社会に新たな歪みを生む、最新の、この難しい難題にどう取り組んでいくのか、留学生含めたこれからの若者の柔軟な頭で考えてみて欲しいと思います。

後藤