Thank you の効果

Thank you の効果

「日本は礼節を尊ぶ国だ」と外国では思われている。神道、武士道、茶道などを筆頭に間違いなく、精神的切磋琢磨を基に修行する「道」は多く、これらに関して外国人から聞かれたりしたことのある人は多いと思う。それぞれについては、限定範囲で私の少ない知識からどうにか答えることが出来るが、「日本人は礼儀正しいと思っていたが・・・」で始まる昨今の日本人のマナーに話が変わるといきなり歯切れが悪いことになってしまう。

日英の挨拶の基準がまったく同じではないとしても、やはり最近の日本の礼儀の乱れは何とも寒々しい。朝、通勤途中に近所の人とすれ違うが無言。エレベーターでも無言。「お先に」の言葉もない。大人でもこうなのだから、その親に育てられた子供となると、推して知るべし。スーパーマーケットで奇声をあげて走り回る子供を注意しない。例をあげれば切りがないが、英国ではかなり悪い地域でもこのようなことは起きない。昔から日本人は親子、夫婦のような親しい人間関係の中でこそ、言葉が省略され、「メシ、風呂、寝る」の世界だが、公共の場ではここまで酷くなかったと記憶する。

実は、留学前にどのような準備をしたらいいかという親からの質問への答えが、なんとこの「礼儀=挨拶がきちんとできるようにする」になってしまってもう10年ほど経つ。ガーディアン家庭からのお叱りと言うか、あちら側からみれば、留学生の信じられない行動についてのクレームが多くなったためだ。究極は「ありがとう」を言わない! 車で学校に送ってもらっても無言。いかに英語が出来ないとしても「Thank you」を言わないのに対してこちらも弁解は出来ない。そういえば、日本の家庭で「ありがとう」を言う習慣ってある?というベーシックな疑問にまで到達する。子供が親に、または親が子供に、そしてお父さんがお母さんに・・・「当然ある」と躊躇なく答えるケースは少ない。礼儀正しい国と思われている日本と、「Thank you」を言わない子供のいるギャップを英国人に説明することの難しさ。それはさておき、留学1年目にして、たくさんの「ありがとう」を自分の子供に言われるようになり、とても嬉しいと感じる母は多い。親子のコミュニケーション云々を語る前に取りあえず、まずお父さんもお母さんも「ありがとう」を言いましょう!

渡邊和子

渡邊オフィスが考える留学について、より詳しくはこちらで紹介しています。