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身近なチャリティーに溢れた英国

15th Nov 2019

災害続きの日本列島は今あちこちで義援金の募金を目にしますね。実は英国のチャリティー活動は、大事が起きていなくても日常生活に根付いているのです。

 

まず、どこの街にもいわゆる必ずチャリティーショップがあり、中心部にあるメインストリートに店舗が構えられていることもしばしばで、古着や雑貨などから、家電を扱うところまであります。ホームレス支援を始め、教会や自治体主導の活動も数えきれないほどあります。

 

今の時期で言うと、日本の年賀状と同様、たくさんのクリスマスカードが店頭に並んでいます。そのカードの裏側をよく見ると、シンボルマークと団体名が印刷されているものがあります。これはチャリティー協賛のカードで、購入額の一部が自動的にその団体へ寄付される仕組みです。人によっては自分が支持、支援している団体名入りのカードから選んで買うほどです。どれも手を出しやすい価格帯の物ばかりです。

 

ボーディングスクールにもチャリティー活動は身近に存在しています。よく見かけるのは、子どもたち自身で決めた目標(例えば何マイル走ります!)を達成できたら、寄付金をいくら払いますという約束を周囲から取り付けた上で実行するチャリティー活動、スクールオーケストラのチャリティーコンサートももちろん行われます。クリスマスにクリスマスシューボックスを集める活動もよく目にします。これは文字通り、紙の靴箱くらいの箱に文具や学用品、ぬいぐるみなどの子供向けの物を入れて持ち寄り、寄付するのです。

 

先日、ある学校のニュースレターで少し珍しい活動を見かけました。ホームレスに食事提供をしているチャリティー団体をサポートする為に、生徒と保護者からとっておきのレシピを集め、料理本を作って販売することにしたとのアナウンスでした。ボーディングスクールには様々な国や習慣の生徒が在籍しているので、その多様性を生かしたものを目指しています、とありました。確かに普通の家庭料理のレシピは巷に溢れ今更特別なものにはなりません。ボーディングスクールの今の環境を生かし、その学校らしいレシピ本になることを目指して呼びかけをしていました。学校の皆さんに自国の美味しいものを知ってもらう、とても良い機会になるなと思いました。

 

こういった活動を外側から見て新鮮だなと思うのが、子どもたちを始め、皆がそのイベントを楽しみながら参加していることでしょうか。例えば、「ただ走る」だけではなく仮装をして自分も楽しみ、見ている人も和ませ、サービス精神旺盛に取り組みます。はるか昔の記憶で、自分も目玉焼きが乗ったフライパンを持ってコックの帽子をかぶって友達と走った記憶がうっすらと残っています。何をしていたのかの理由は全く覚えていないのですが、皆でお腹を抱えて笑ったことだけは覚えています。英国の良いところはこういった取り組みを実は誰も強制しません。それぞれが得意なことや自分に出来る範囲の事を考え、自主的に参加するものであって、やらない人が虐げられることもありません。あくまでも自主性を重んじるのです。それは小さな頃から親の背中や周囲を見て当たり前の行為として捉えられ、身体に染み付いている習慣の現れではないでしょうか。

 

こういった活動は留学生たちにとって最初は何が起きているのかよくわからないかもしれません。というのも、自主性が全てなので自分で発信しない限り、巻き込まれることが少ないからです。学校に慣れてきたら、周りを見ながら自分に出来ることは何かを考え行動にうつしてみると、ボーディングスクールライフがより充実したものになるかもしれません。

田辺