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留学と山登り

17th Jul 2020

イギリスの登山家ジョージ・マロリーの「Because it is there.」は山に少しでも興味を持った人であれば一般常識のように知られている言葉ではないでしょうか。「Why did you want to climb Mount Everest?」と問われたことへの答えと言われています。

コロナで登山規制もあり、私もしばらくは山から離れているのですが、もともとは月に最低1度は山に行かないと落ち着かないたちの人間です。登山デビューは約8年前の登山未経験者数人との山登り。エベレスト級の登山経験者が企画してくれたのですが、初心者用にと標高1000メートル程度の日帰りハイキングでした。ハイキングといっても普段歩きなれない岩のある凸凹道の坂は初心者にとっては厳しく、皆で無口になりながら競争するように登りやっと頂上に到着。自分の足で登りつめた頂上からの景色を堪能した後、なだらかな下り道を友人とおしゃべりしながら降り充実した一日でした。そこから私は山にはまり、山に関する本を読みあさった後、同じく標高1000メートル程度の山へ一人で向かいました。アシスタントがいないことにより気付いたのは、山に行くには様々な下準備があり、気を抜くと滑落するという恐怖。でもそこにはスリルを感じる自分がいました。

これってイギリス留学と似ているなと感じることがあります。留学出発前の準備は人生の経験者である親ができることは沢山あります。イギリス生活をする上で当面必要であろう荷物の準備、イギリスの天候チェック、出発の時の飛行機や送迎、学校の連絡先、万一のための保険加入など、子どもが困らないようにと準備をします。それは山に行くときの準備も同じで、怪我をしないよう登山に向いた服装や靴選び、登山日数や行程に応じた飲食類の準備や道具、天候や登山行程のチェック、万一のための山保険への加入など。そして、山登りでも十分なイメトレしていても思わぬハプニングが起こるように、留学中に子どもは様々なパプニングに遭遇するのですが、怖さからくるドキドキ感もさることながらスリル感もあるように思います。それは、子どもが親元の守られた環境から旅立ったからこその経験です。平和な日常生活ではなかなか起こらないスリルというインパクトのある経験は、新しい世界で自分を試していくきっかけとなり自己成長につながるように思います。

「なぜ、お子さんをイギリス留学させてたのですか?」その答えは無数にあると思いますが、でも結局のところ「そこに我が子の成長があるから」ではないでしょうか。

長谷