塾はいらない
26th May 2023
学校以外で勉強する・・塾の存在が当たり前になったのはいつからのことでしょう。少なくとも私が小学校の頃にお稽古事の延長という形で出来初めていたと思いますが、受験=塾が当然となったのはここ50年位なのでは? 地方に行ってもやたら塾の看板が目立ちます。もう今では日本全体が「塾に行かないと受験は出来ない」という思考になっていて、塾代が払えない貧困家庭との学力差が問題になり、ならば塾代が払えるように貧困家庭に金銭的援助が必要???なんか話が可笑しな方向に向かっていると思いませんか?
そもそも勉強は学校でするという根本的な考えがいつの間にか自然消滅していると感じます。塾に行かないと受験で勝てないという発想もこの不思議な環境を作っていますね。では学校での学習の質を上げる、受験に対応できる教師の人材を確保するなど、「学校」を本来の学びの軸にしようという発想や動きが社会にないことにも疑問を感じます。
克明に調べたわけではありませんが、塾産業がこれだけビジネスとして成功しているのは日本と韓国だそうです。これが他国でここまで成功していない理由も調べた方が良さそうだと思います。
イギリスのボーディングスクールの話をする時、「塾」はありませんと言うと皆さん驚かれます。じゃ受験はどうなるのですか?という質問。やはり受験=塾なんですね。ボーディングスクールは24時間ですから、もちろん物理的にも学校後に塾に通う事は出来ません。しかし、そういう問題ではなく、イギリスの教育そのものに「塾」で勉強するという発想がないのです。当たり前のことながら、勉強は100%学校でするもの。もちろん受験に対応するだけの学習内容と教師を備えています。ボーディングスクールはそれだけでなく、スポーツ、音楽などの課外活動まで日本の学校とは比べ物にならない多種多様な活動も出来るように作られているのです。 たまにイギリスでの受験は家庭教師などを駆使して大変だったという体験が書かれている本を目にしますが、これはボーディングスクールではなく、通学校の場合です。宿題、課題を帰宅してからこなさなければならない場合、特に日本人の親がサポート出来ないと家庭教師が必要となるでしょう。ボーディングスクールでは宿題も課題も授業後に学校でやります。先生方も常駐していますから分からないことをすぐに相談することも出来ますし、必要な子には補修もしてくれます。
現代の日本では塾を排除するという形はほとんど無理と諦めてしまうのでしょうか? イギリスの受験時期にスポーツも音楽もあらゆる趣味も諦めずに受験勉強とバランスを取って過ごしている子供達をみるにつけ、日本の「行き過ぎ」の詰め込み受験に違和感を覚えます。
渡邊