ピーター・ラビットが好きなわけ
10th Oct 2014
1歳半になる娘の最近のお気に入りは、絵本を開いて見ること。(正確に言うと見せてもらうこと?)よちよち歩いて1冊ずつ自分で本棚から引っ張り出しては、大人のもとに持って来て、ひざ上にちょこんと座り、1ページずつめくりながら「読んで」と言うようにこちらの顔を見てきます。もちろん読んであげたところでまだ意味が分かるわけでなく、ただ次々と登場する新しい絵のイメージが面白いのと、それに合わせて大人が話す口調や音が楽しいという感じです。
私の好みでよく選んで読んであげているのは『ピーター・ラビットシリーズ』。誰もが大好きなイギリスの定番児童書の1つですね。私自身も、小さい頃に箱入りの手のひらサイズシリーズを大切に持っていました。この絵本の魅力については説明するまでもありませんが、登場する動物たちの姿が何とも素朴で身近に感じられるのに、風変わりな洋服やどこかあれ?と人の気を引く可愛らしさがあることは大きいと思います。
作者のビアトリクス・ポターは、映画『ミス・ポター』でよく知られるようになりましたが、本当にドラマチックな人生を生きた女性です。圧倒的に男性優位な時代に、本を書くことで独立する意志を貫き、婚約者を亡くす落胆を乗り越え、イギリスの自然環境保護運動をリードする存在にまでなりました。湖水地方の多くの農場や土地を買い取り、ナショナル・トラストに託したことは有名です。渡邊オフィスの留学生が行っているStonyhurst校やSedberg校も、ポターがその自然の景観を愛し晩年を過ごした湖水地方の近辺にありますね。私も一度訪ねてみたい場所です。苦しみもがきながら厳しく強く生きた人物が生み出すからこその、愛情あふれる豊かな表現と優しいタッチの絵が心に響くのかもしれません。
寺岡