「読める」けど「分からない」
3rd Jun 2022
ここ最近、健康のために夜間に近所の道路脇をウォーキングしています。遅い時間ともなれば人通りも車も激減するので、本来は独り歩きは躊躇するところですが、道中に2か所ある交番に「何かあれば駆け込める」ので、安心です。日本の交番制度は素晴らしい!
どちらの交番もたいていはお留守です。入口すぐにある簡素な事務机の上には、電話機1台と電話脇に立てかけられたプレート。そこに、こんな説明書きがあります。
「緊急の場合は受話器をあげて話してください。」
ご丁寧に漢字のすべてにルビが振ってあります。子どもや日本語が苦手な人も読めるようにとの配慮でしょう。
でも、ちょっと待って!そもそも、文字が読めたら意味が通じるのでしょうか?いえいえ。自分の経験でも、英語を学び始めた頃は「読めるけど意味がわからない」ため苦労したこと数え切れず。多くの人が言葉の学び始めは同じ問題に悩まされるはずです。残念ながらこのルビ対応では、日本語の不得意な人が即座に受話器を取るようには仕向けられないですよね。余談ですが、渡邊オフィスが留学生とそのご家族向けに配布している安全のためのルールブック「Gブック」には、説明に多くの漢字が使われており、小学生にはハードルが高い読みものです。そこで漢字にルビを振る案が出たのですが、スタッフと相談の結果、見送ることにしました。子ども達には読み方がわかっても理解できるとは限らないと考えたからです。その代り、出発前のガイダンスで重要部分を彼らに分かる言葉で説明をしています。交番のプレートの文字も、ルビを振る手間をかけるなら、絵で説明したり、英語やいくつかの言語で用意したほうが素早く確実に理解してもらえると思うのですが。
さて、もし交番に駆け込んだ外国の方が何とかプレートの文字を理解して受話器を取ったとします。で、その先は?警察に電話すると英語(なり、その他の外国語なり)で対応してくれるのでしょうか。もし日本語対応だった場合、さらなる問題があるかもしれません。その方が「聞き取れる」けど「理解できない」かもしれないのです!