日常からの逃避
13th Mar 2020
先日、イギリス人フォトグラファー、Tim Walkerの写真集を久しぶりに見ました。
エクセター・カレッジ・オブ・アートでアートとフォトグラフィーを学んだ後、彼はニューヨークへ。アシスタントを経て独立してからのキャリアを、皆さんもVOGUE誌や数々の広告などで目にしていると思います。ファッション・フォトグラファーとして活躍する彼の写真は、とても美しく、ユニークで幻想的なものばかりです。
そんな彼の写真は、イギリスを題材にしたものが多く存在します。例えば、彼の出身地でもあるサリー州は、ロンドン近郊の古い町並みと広大な自然に恵まれたとても美しい地域です。彼のおとぎ話に出てくるようなファンタジーな作風は、彼の故郷の影響が強く出ているものもあります。かつて私が在校していた学校もサリー州にあり、彼の写真を見ていると懐かしさを感じることも。
現在、ヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)では、彼がV&Aの所蔵品からインスピレーションを得て撮影した作品で構成された展示会が行われています。16世紀のステンドグラス窓や、ヒンドゥー教の神クリシュナとインドラを描いた16世紀の水彩画などから着想を得た写真「クラウド9」など、彼の解釈で所蔵品がどう生まれ変わったのか、とても興味深いものとなっています。
まるで舞台装置を作っているかと思うような巨大な本のセットが作り上げられた展示会は、まるで不思議の国のアリスの世界に入り込んだ気分になります。私も行きたかったなあ…と羨ましい気持ちを抑えながら、写真集のページをめくりました。イギリスにいる方には、ぜひぜひ足を運んでいただきたいものです。
彼の作品を眺めながら、日常という現実から少しの間離れてみるのもリフレッシュになるのではないでしょうか。
宇井