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時代を超えて

1st Sep 2023

先日何気なくBBCニュースを見ていたところ、「盗まれたアラン・チューリングの持ち物が40年を経て母校に返還される」という見出しが飛び込んできました。アラン・チューリングといえば、第二次世界大戦中にナチス軍の暗号を解読した数学者として有名で、イギリスの50ポンド紙幣の顔にもなっている人物です。この見出しに目を引かれたのにはもちろん理由(もうお察しの方もいるかもしれませんね!)があります。それは、チューリングがイギリスのボーディングスクール出身だからです。彼はイングランド南西部にあるSherborne Schoolという伝統校出身ですので、このニュースの見出しの「母校」は当然Sherborne Schoolのこと。気づけば記事全文を読んでいました。内容としては、チューリングと縁もゆかりも無い女性が80年代に盗んだ、チューリングの在学中の成績表や写真、さらにはケンブリッジ大学の博士学位証明書から終戦後に受賞した大英帝国勲章までがアメリカで見つかり、裁判の末、母校に返還されることになったとのことでした。なんとも、チューリングの遺族が「母校に」と寄付した様々な物品の中から盗まれていたようで、ようやくあるべき場所に返還され、遺族の方々も安心されたのではないかと想像しています。

つい最近のニュースとして読んでいたので、なんだか全てが最近の出来事であるような錯覚を覚えてしまいましたが、よく考えるとチューリングが学校に通っていたのは実に100年も前のこと。歴史と伝統のあるボーディングスクールだからこそ、このような世代も時代も超えた話題に事欠かないのだと改めて感じました。

ちなみに、アラン・チューリングの人生を描いた映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(2015年)も面白く、チューリングに対する理解も深まるので、よろしければご覧ください!(本作主演のベネディクト・カンバーバッチも、イギリスのボーディングスクール出身です!)

小島