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先駆者であれ

11th Aug 2023

先日、日本政府が日本版のDBS創設に向け検討を始めたとのニュースが流れました。「やっとか!」というのが感想。ここ数年で増えている教育関係者による性犯罪などから子どもを守ろうという主旨で、導入におおいに賛成です。

渡邊オフィスの会員の皆様であれば、このDBSは耳にされたことがおありでしょう。DBS=Disclosure and Barring Serviceは、訳すと「前歴開示・前歴者就業制限機構」。ある人が特定の就業をするにあたり、雇用主はその人の犯罪履歴をチェックし、雇用に適しているかを判断しなければなりませんが、DBSはそのチェックサービスを提供する機関のことです。たとえば、子どもに関わる仕事に就く人は、必ずこのチェックをクリアしていなければなりません。留学生のホストファミリーもGNetがこのチェックを行います。学校では、教師や学校事務の方々はもちろん、キッチンのスタッフ、個人レッスンにやってくる講師、施設のメンテナンスを任されている技術者等、とにかく学校に出入りする人全員を対象に行っています。最近はオンラインで講義をする場合でもこのDBSのクリアが求められ、例外はありません。イギリスのみならず、今や同じフランスやドイツなど、同じしくみを持つ国は増えています。

実はこのDBSを2012年に世界で初めて導入したのがイギリスだそうです。さすがにこれまでも多くの「先駆者」であっただけのことはあるな、と感心します。ATM(現金自動預け払い機)はイギリス発祥。その他、株式会社(1600年)、蒸気機関車(1804年)、動物園(1828年)、切手(1840年)、日刊新聞での天気予報連載(1861年)、地下鉄(1863年)、栄養ドリンク(1929年)、等、枚挙にいとまがありません。どれも画期的な発明ですが、導入当初は世間の批判を浴びたり、不完全なままの立ち上げで失敗があったり、と先駆者の苦労は大きかったにちがいありません。しかし、その勇気があったお蔭で世の中はずいぶんと便利になったり厚生されたりしたのも事実です。

日本は批判に対して臆病になり先に進めないことが多い国のような気がします。しかし、先駆者に倣うだけなら、もう少し大胆でもよいのではないでしょうか。

山岸