Back to Blog Top

春を詠む

20th Apr 2018

一昔前のイギリスの春の訪れは緩やかなものだった記憶がありますが、このところ「冬から初夏までの期間が短くなった」と耳にします。特に今年は大寒波の冬が終わったとたん、4月末頃からイギリス北部でも20度を超えるという予報が出ています。(あくまでも予報ですが!)

 

天気の話題にちなみ、今回はイギリスの詩人Philip Larkinの作品をお届けします。春を題材とした詩として、イギリス国内のみならず「春の詩といったらこれ」と幅広い人々の心に残る詩です。季節があることで、その変わり目に人生を感じ取り、その自然の恩恵が人々を豊かにしていることを表しているようです。

 

The Trees, by Philip Larkin

 

The trees are coming into leaf

Like something almost being said;

The recent buds relax and spread,

Their greenness is a kind of grief.

 

Is it that they are born again

And we grow old? No, they die too,

Their yearly trick of looking new

Is written down in rings of grain.

 

Yet still the unresting castles thresh

In fullgrown thickness every May.

Last year is dead, they seem to say,

Begin afresh, afresh, afresh.

 

 

木々   フィリップ・ラーキン

 

樹が葉を着けようとしている。

そして、まるで、この様に言っているかの様だ。

「新しい芽が和らぎ開く、

葉々の緑は、ある意味、悲しみだ。」

 

「葉々はまた新しく生まれる。

だが、私たち樹は、老いるだけなのか?」 いや、葉々も死ぬのだ。

葉々が新しく見える妙技は、

種に印された環に書かれているのだ。

 

それで、こうして今でも、毎年五月には、

目一杯に生い茂った樹冠は、絶え間なくそよぐのだ。

葉々はこう言っているかの様だ。「去年のは死んだ、

新しくなるのだ、新しくなるのだ、新しくなる。」

 

参考までに詩の動画もご覧ください→こちら

 

矢部