行列の醍醐味?
16th Jun 2017
日の入りがだんだんと遅くなり、夏が近付いてきていることを感じます。イギリスも20時半頃まで明るくなり、過ごしやすい季節になりました。
イギリスの夏といえば、色々思い浮かべるものがあると思いますが、私にとっては全英オープンテニス!ウィンブルドンの季節です。錦織圭選手の活躍で、これまで以上に馴染みのあるスポーツになりつつありますね。低学年の留学生は、夏学期(4~6月頃)のスポーツの授業のひとつとして テニスがある事が多いようです。高学年の生徒たちにとっては6月は試験シーズンでありながら、息抜きとして皆でウィンブルドンをテレビ観戦したり、友達同士で打ち合いをしているようです。発祥の地イギリスというだけあって、テニスは生活に馴染み深いスポーツの1つです。
さて、ウィンブルドンは、例年6月下旬から二週間にわたり開催されますが、今年は少し遅く7月3日からです。(今年は、試験シーズンと日程が被りませんね!)テニスは勿論のこと、ウィンブルドンのもう1つの風物詩は、当日券を手に入れるための『行列』ではないでしょうか。
まず、当日券は大きく分けて午後5時までと、それ以降に入場出来る2種類のチケットがあります。午後5時前に入場出来るチケットはさらに有名な選手がプレイするメインコート(センターコート、No.1、No.2コート)のどれかに入る事ができる全席指定チケットと、そのほかのコート(No.3~19)どれにでも入る事ができる自由席チケットの4種類です。午後5時以降のチケットは、全席自由席で、コートによる区分けはありませんが、大概すでにメインコートの試合は終わっています。
全てのチケットが枚数限定で、いずれも並んだとしても、チケットを入手出来る保証はないのですが、、、その可能性を信じる人で、大行列が出来ます。しかもじっと、ただ並んでいるわけではなく、キャンプかピクニックかと見紛うほど、テントを張ったり、机や椅子を持ち込んだり賑やかです。会場もそれを予想して、ホームページには並ぶ方向けのガイドがあり、広々とした洗い場を用意したり、お手洗いもきちんと整備されています。まるでお祭のような雰囲気のため、気付けば前の人とも横の人ともお喋りして、お菓子を交換し、お互いにお手洗いに行くときは場所をキープし合い、会場に入る頃には長い待ち時間を過ごした戦友になっている、という状況が私だけでなく至る所で出来上がっていました。これはまさにインターネットを通じた対話では味わえない人の温かさを感じる繋がりです。
また代表者だけが並ぶ、という事が出来ず、その場できちんと並んだ者だけが当日券を入手出来るシステムになっていることも特徴です。日本でも学生の頃は、好きなアイドルのコンサートに行くために夜通し並んでチケットを入手したこともありましたが、どんどん顔の見えないやり取りが増え、詐欺や違法なチケットのやり取りが増えているとも聞きます。
やり方が古めかしいと思うもしれませんが、人の繋がりを大切にし、努力した者が評価される、ということがいかにもイギリスらしいですね。
、、、と感じるのは、渡邊オフィスで働く今、振り返ってみたからで、行列に挑戦した、あの猛暑日をもう一度経験したいかどうかは、別の話かなぁと思います。
後藤