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Summer Reading

23rd Jun 2017

試験が一段落したところで、生徒たちは学期末までの時間、そして夏休みをどう楽むかで頭がいっぱいになっていることでしょう。欧米の社会人が有休をフル活用するように、社会全体で「Work Hard, Play Hard」=「よく学び、よく遊ぶ」ことが健康的という考えを共有しているので、学校も試験が終わった瞬間に一気に遊びモードに入ります。夏休みの宿題を出す学校は皆無と言ってよいほどまれですし、あっても参考に読書リストを渡されるくらいです。

 

日本の方が – 真夏の野外で読書 – と聞くと、強い日差しを受けてわざわざするものではないと抵抗する方も少なくないと思います。「読書の秋」がスローガン化して、心地よい季節に楽しむのが一番だと洗脳されている可能性もありますが。反対に欧米では「Summer Reading」という言葉が広く定着しており、天気が良い時こそ庭や公園やビーチに寝転がり読書を楽しみます。これも夏に長い休暇を取ってゆっくりと過ごす文化が存在するが故可能なのですが、もう一つの大きい理由は小麦色に日焼けしたいけれど、ただ寝そべっているのは非効率的というもったいない精神からきています。

 

白色人種の方たちは日焼けをすると引き締まって健康的に見えることに加え、自国に帰国後何も言わずに「私、日差しが強い場所に旅行に行ってきたの」とアピールができるのを好みます。最近では、日焼け=老けの意識が高まり、皮膚がんを懸念して焼き過ぎに注意する人も増えたようですが、イギリス人の多くはまだまだ小麦肌に大きな憧れを持っています。旅行にいく機会がなければ日焼けサロンに通ったり、塗料を肌に吹きかけてオレンジ色に変身しています。黄色人種が持つ美白に対する憧れと共通していますね。余談ですが、トランプ大統領の不自然なオレンジ色の顔面も作り上げられたもののようです。そこまでしてでも、病気がちに見える肌よりはまだましだと思う人は少なくないようです。理性を大切にしがちなイギリス人のこの不思議な性質は、私にとっては永遠に謎のまま終わりそうです。

 

矢部