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複雑な世の中になりました

16th Sep 2016

新学期が始まると共に生徒たち本人からメールが届いたかと思うと、お小遣いの受け取り方法や額の質問が目立ちます。親元から離れて暮らすとなると、やはり自由に使えるお金がないと不安になるのは当たり前でしょう。ほとんどのプレップスクールではお小遣い制度自体を設けていませんが、実はシニアスクールになっても寮生活の中でお金が必要になる場面は限られています。週末のTrip(遠足)で使う現金や、School Shop(校内の売店)でTuck(お菓子)やStationery(文房具)を買う、Town(街)で洗面用具などの消耗品を買う、友達の誕生日会の費用、などでしょうか。近年では、School Shopでの購入は学期末に一度に請求される‘つけ’のシステムを導入している学校も多く存在します。また、学校でブックフェア(生徒に読書を推進する書籍販売会)が開催されても、親が事前に決めた限度額までであれば自由に好きな本を買えるのです。

一時代前までは、イギリスの寮生活というと、大きく[制約]という文字が思い浮かぶ方も少なくなかったと思われます。(参照:19世紀初期のラグビー校を舞台にした小説「トム・ブラウンの学校生活」)休暇中に自宅でどんな贅沢な暮らしをしていても、学校に戻ればみんな(美味しくなかったであろう)同じ釜の飯を食べ、いずれは報われる寮内の年功序列制度に耐えることで、世界中どこに行ってでも、どんな境遇の人にも恥ずかしくない対応ができる人間をつくることが目的だったようです。学校の敷地内と外の区別がはっきりしていたからこそ成し得たことだと考えます。

今では、当たり前ですが、栄養価と味の良さを考慮したメニューが並び、いじめに値する行為は許されません。それ以上に生徒への影響が懸念されるのが、インターネットとスマートフォンの普及、そしてSNSの巨大な影響力です。全世界どの国でも問題視されていることではありますが、近年のティーンエイジャーは情報が溢れる中で他人と自分の生活を過剰に比べ、また承認欲求が増している傾向にあります。ボーディングスクールでは、日常的にスマートフォンやSNSに関するルールを設けています。生徒を長期間預かる学校は、イギリスの変わりゆくインターネットセーフティやSNSのリスクにとても敏感で、その都度生徒を相手に対応している学校も多いです。インターネットに存在する危険はイギリスと日本で異なることも多いようです。お子さんと話す機会に、どのようなオンラインセキュリティ教育を受けているか聞いてみるのも良いかもしれません。

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