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一生ものの趣味

29th Jan 2016

先日、知人の夫妻がイギリスから日本に移住してくるとのことで、下準備で来日中の彼らを新居にお邪魔しました。日本人の奥様と連れだって過去30年ほどの間に何度も来日している間に家選びと移住計画は着々と進んでいたようです。先日、スタッフのブログでペンキ塗りを話題にしていましたが、イギリス人はDIYが大好き。ご主人も例外ではありませんので、彼らが住みながら手を加えていくことを勘定してその家を購入したことはよく理解できました。

ご主人いわく、ここ数年で日本のDIYショップの数が増え、商品もかなり充実してきたそうで、ショップで少しずつ日本製の大工道具を揃えるのも楽しい模様。ちなみに、のこぎりは包丁と同じく、欧米では「押して」使うけれど日本は「引く」ので、慣れるまで時間がかかったそうです。その他、作業や道具のいちいちの話は結構面白いものでした。お宅は贅沢な敷地に贅沢な作りの純和風のちょっとしたお屋敷。ただ、20年の経年で手を入れなければならない箇所があちこちに。作り付けの棚もバンバン取り外したりしてものすごい大作業です。さらに庭も抜本的に手を入れなければならないらしく、聞けば聞くほどに途方に暮れる私を横目に、壮大な改装計画を意気揚揚と語ってくれました。彼のDIYの腕前はお墨付きでしたが、さすがに障子や襖、聚楽の壁などどう料理するのだろうと思っていたところ、すでに張り替えをした障子や和紙のランプを見せられ、彼の本気度が伝わってきました。私たちがお茶をしている間もせっせと庭に出て木の伐採から切った木をきれいに刻んで紐で括ったり、庭師の仕事まで丁寧で上手な彼。枯葉のごみを片づけることまでも楽しんでいる様子です。

このお宅の修理・手入れにかる時間が膨大であることはシロウトの私でも一目瞭然です。言い換えれば、すでにリタイアした年代の彼には、一生楽しめる趣味を手に入れたということなんでしょうね。一方、奥様が最後まで日本移住に反対だったのは、こんな一生モノのDIY生活をできたら敬遠したかったからに他ならないそうです。私もどこかでお手伝いに行くのかと思うと、ちょっと気重になっています。(笑)

山岸