この温度差?
29th Jun 2012
仕事柄、多くのご両親にお会いします。当社を訪れる方々は、もちろん何等かの理由でわが子を外国の学校で教育を受けさせたい、海外で様々な体験をさせたい等と考えている方たちなので、自然に大学も海外でというか、海外ももちろん視野に入れられることをメリットに感じられているという図式になります。小・中・高校の時からの留学はある種将来の選択肢を広げることも留学の一つの目的にもなっています。ところがその大学進学でまだまだ日本の大学を主体に考える方たちがいることに驚かされます。そこまで海外で教育を受けてなぜに大学は日本なのでしょうか?
長らく英国で教育を受け、日本でも教育を受けてみたいから大学は日本でという留学生が時々いますが、これはある意味理解できます。体験として母国でやってみたいということです。また、医学、法律のように日本での資格も取りたいと考える場合は、日本の大学も大いにありえるでしょう。但し、この考えの人たちはその後遅かれ早かれ再び海外の大学へ留学し、さらに上を目指す傾向にあります。
私が一番疑問に思うのは、「日本の会社に入るには日本の大学卒でなければ・・」と未だに昔の事に固執する方が少なくないということです。約40年前に日本に戻ってきたような私の時代はまさにそうでした。日本の会社あるいは社会は海外で教育を受けた者に対して非常に冷く、ほぼすべての門戸が閉ざされていました。海外との接点がある企業がまだ少なかった頃のことです。日本の価値観ですべてが出来ると思えたバブル時代でもありました。しかし、今のようなボーダーレスの時代、防ぎようのない外国とのあらゆる面での接点は日頃のあふれ出ている情報からも明白です。そのために企業が外国相手の即戦力をもった社員を熱望していることもご存じでしょう。
「いやいや、いくら外国の経験があっても日本を知らないと・・」という声が聞こえそうです。では本当に留学生は日本を知らないのでしょうか?長年外国暮らしをして帰国第一日目の話をしているのではありません。日本の社会に戻ってある期間が経つと、やはりもともと日本人なのですから、そして違う価値観を経験したからこそ、知らないどころか、返って客観的な目をもって日本を深く知ることになるのです。それこそが今からの日本に必要な力だと思います。中国、韓国とアジアの諸国を見ても分かる通り、そうやって国の繁栄に貢献している、生かされている留学生の力は大きいと感じます。
渡邊和子