寝るのが趣味

皆さんは、「寝る」ことは趣味と言えると思いますか、それとも言えない？留学前の中高生と面談をしていると、「寝るのが趣味」と話す子どもが実に多い！多忙な日本の子ども達にとって、時間を気にせずに寝るのは楽しみの極み。それを「趣味」と言ってしまうのも分からなくはありません。一方、イギリス人で「寝る」ことを趣味と言う人はいません。趣味とは、特定の運動や読書や料理など、日常の生活行為以外の部分での楽しみを指すので、寝ることは到底趣味には入りません。先日も学校と面接前の練習で、「趣味は寝ること」と答えた中学生に、「それはカット」とアドバイスしたばかり。（汗）

さて、イギリスのボーディングスクールでは、先週まで約2週間の中間休みでした。留学生達は各自のホストファミリーと過ごしましたが、今年出発した留学生にとっては、初めてホストファミリーとまとまった期間を過ごす機会。大勢のホストファミリーを束ねているGNet（GNetとは）は、新規留学生らの滞在の様子を各ホストファミリーにチェックする日々でした。概ね順調な報告の中、何人かのホストファミリーから「ウチの子は昼近くまで寝ていて、朝ドアをノックしても起きてこない。」との心配が寄せられました。要は、「いくらなんでも寝すぎ。」だと言うのです。確かに。とりあえず私どもがZoomで本人と話すと、本人は「休みの日なのに、昼まで寝てはダメなの？」とむしろ驚いた様子。そうでした、そうでした。君たちにとって「寝ることは趣味」であり、「この上ない贅沢」なのでした！しかし、ホストファミリーにとっては、子どもが昼まで寝ていると一日のリズムも狂ってしまい、出かけるチャンスも逃してしまいます。他人と暮らすには譲り合いの精神が大切なところ。本人にはイギリス人が休みの日でも昼まで寝ていることは稀であること、たまに寝坊したいなら前の晩にホストに断りを入れるなど、少し工夫するようアドバイス。（大抵は素直に聞いてくれ、可愛い限りです。）反対にホストファミリーには、「日本の子ども達の生活は、塾だ宿題習い事だと時間に追われ、世界で一番睡眠時間が少ないほど。だから子ども達は寝ることに貪欲でそれを『趣味』だと言うほどに睡眠を渇望する傾向があるのです。」と、説明。「ただし、約束した予定があるならば部屋に入って揺り起こしてあげてください。本人に悪気はないのです」と、必ず付け加えて。何件か似たやり取りをした末、皆平和にハーフタームを終えたようです。

このように、渡邊オフィスが日英の感覚や習慣の違いを留学生とホストファミリーに説明して間を取り持つことはしばしば。いずれこの留学生達もイギリスに慣れ、「寝るのが趣味」とは自然と言わなくなるはずです。(笑)　　

山岸