「一貫校」って日本もイギリスも同じ?
12th Dec 2025
日本ではよく耳にする言葉です。イギリスの学校のことを親御さんとお話している時も、時々「それは一貫校ですか?」と聞かれます。現時点での日本で使われているこの言葉の定義で最も多いのは、「小中高一貫」あるいは「中高一貫」でしょう。昨今私立だけでなく、公立もこの方向にシフトしているのが分かります。理由の一つにあるのは少子化であり、学校の生き残り作戦の一環だと思いますが、結果的には子供達に受験だけの学生生活ではなく、あらゆる意味において若い時に様々なことにチャレンジする時間の余裕も与えると言うメリットもあり、双方に受け入れられる変換と言えると思います。しかし、何事もやり過ぎるとメリットがデメリットにも成りかねない要素をもっているのではないか。と言いますのは、この一貫校の定義が大学にまで及び「小中高大」つまり大学も少子化による生徒減少の防御策として、積極的に付属高校(あるいは中高)を増やす動きが顕著です。以前から大学付属の中高はあるもののどんどんとその傾向が強くなっています。こうなると、大学受験そのものがなくなる? これは良いことなのか、逆に学生の学業意欲をそぐことになるかもしれません。この傾向が進むと、幼稚園または小学校受験で一旦この流れに乗れば、その後の受験を回避することができるという図式が見えます。日本人はなにより安定を好みますから、このパターンが好まれるのは分かります。しかし、社会に出たらどうでしょう? 現社会のまさに終身雇用制から転職を良しとする傾向と矛盾しているのではないか。そうすると受験という経験をまったくせず、社会の競争に直面することになりますね。現状の就職市場は売り手が強いですが、AIがどんどん進出してくるとこのまま推移するのかはどうかも怪しい。何事においても一つ歯車を変えると他にも影響が出てしまいますね。
ではイギリスはどうかと言うと、少子化だけでなく、税金を含む物価の上昇も加わり、やはり私立校の存続に危機感が漂っています。最近とみにシニアスクールの傘下に入るプレップスクールが多いのは、これが理由です。しかし、さすがに大学の付属校というシニアスクールは存在しませんし、現段階ではその兆候もありません。大学進学者が昔より増えたとは言え、たぶん日本の大学の全入時代とも言える大卒が当たり前という土壌がイギリスのカルチャーに馴染んでないからではないかと考えます。イギリスの大学の数はおよそ150校、日本は推定800校と言われています。まだイギリスの大学の存続に関しての噂は聞こえてきていません。
余裕とチャレンジのバランスはどこの国でもいつの時代でも難しい。やはり何が起きても求められるのは、人間個人の基礎能力。どんな変化にも対応できる力をいかに身に着けるかであるとつくづく思います。
渡邊