“Cheeweed”の思い出
30th Jan 2026
私がイギリスで初めてホームステイをしたときのこと。ホストファミリーはとてもグルメで、イギリスはもちろん、ヨーロッパ各国や中東まで、さまざまな国の料理が食卓に並ぶ家庭でした。そして、私の滞在中は日本食材(醤油、味噌、豆腐など)も買ってくれるくらい、日本料理にも興味をもってくれていました。
それだけでも嬉しかったのですが、今でも心に残っているのが””cheeweed”を食べたこと。これ、なんだかわかるでしょうか?実は、cheese(チーズ)とseaweed(シーウィード=海藻・海苔)をくっつけた造語です。ホストファミリーが私のために焼き海苔を買っておいてくれていたのですが、「欧米では海苔が苦手な人が多い」と聞いたことがあったので、これなら嫌がらず食べてもらえるのでは…?と思い、作ってみることに。チーズを焼き海苔で巻いただけのおつまみのようなものですが、子どもの頃に母が作ってくれたのを思い出したのです。イギリスの家庭ではチーズはたいてい常備されていますから、この食べ方ならいつでも気負わずに海苔を食べてもらえるのではと思いました。
私の策略は大当たり。特にホストファミリーの娘さん(当時5歳)がとても気に入ってくれました。彼女はseaweedという言葉を聞くのも、海苔を口にするのも初めてでした。しかも、「cheeseとseaweedだから、合わせてcheeweed(チーウィード)だね!」と、なんとも愛らしいネーミングまで提案してくれたのでした。
イギリスは日本と同じ島国ですが、海藻はあまり馴染みのない食べ物です。最近は寿司人気もあり、海苔に抵抗がある人は少ないのかもしれませんが、それでもやはり海藻は身近ではありません。私が食べて育った焼き海苔を喜んで食べてもらえたこと。食を通じて心が通った、私の特別な思い出です。
私はその後もいろいろなお宅でホームステイを経験したのですが、英語やイギリス文化を学ぶことと同じくらい、このような異文化交流が人生の糧になっていると感じます。昨今、日本でも外国人人口が増えていることが取り沙汰されています。少子化・労働力不足による外国人労働者の増加も予測されています。つまり、日本とは違う常識や感覚を持った人がますます増えていくということです。そう考えると、日本よりもはるかに長く外国人を受け入れてきたイギリスという国へ留学することは、多文化共生を体得する絶好のチャンス。そしてその経験は必ず、いま・これからを生きる力となるでしょう。すでに留学中の方も、まだ検討中の方も、そういった視点で留学の意義を考えてみるのもよいかもしれません。
藤波