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学校再開と壮大なロックダウン解除計画

26th Feb 2021

今週火曜日、1月から対面授業がお休みとなっていたイングランドの小中高校が、3月8日から通常授業に戻り、生徒たちの登校が許されることが発表になりました。スコットランドやウェールズに倣って学年ごとに時間差で登校を再開するという噂もありましたが、蓋を開けたら一斉登校開始、という結果。まだまだ不安要素も多い中でジョンソン首相の英断とも言えます。

今回の発表ではロックダウンの段階的解除を示す「Road mapプラン」も打ち出され、その内容が極めて具体的です。たとえば、早くて4月12日以後にレストランやパブの屋外での着席での営業、美容院、動物園、ドライブイン映画館、などが再開できるそうで、6月21日以後は法的な制限はすべて解除され、外出や冠婚葬祭での出席人数も、ついに制限がなくなる予定だそうです。今年の卒業生達にとっての「卒業式イベント」開催の可能性に光明が差してきたということにもなります。

一方、日本ではワクチン投与のプランらしきものが毎日ニュースを賑わしています。何やら当初の予定より大幅に遅れ、しかも接種できる人数も縮小の様子です。そしていつになっても「いつワクチン接種が始まるのか」不明瞭のままです。あるイギリス人のスタッフにそれを呟いたところ、「何でも前もって段取り良く進める国かと思ってたから、意外!」と驚かれました。ちょっと悔しい。(笑)

イギリスのこのRoad mapプランはもしかしたら絵にかいた餅で終わる可能性もありますが、それをイギリス人は十分承知していて、スケジュールというのは変更がつきもの、と最初から納得しているように思います。“プランありき”でとにかく前へ進みます。ところが日本は、計画倒れは悪とばかりに、達成できなかった時に浴びる批判を怖がり、優柔不断になり、段取り力が発揮できません。国民のみならず世界に向けてこの大胆なRoad mapプランを発信してしまった上で必死に実現しようと動くイギリスと、国民の失望を憂慮するばかりにプランがなかなか建てられない日本。

実はイギリスの子ども達は小学生の時から「プラン」を立てる練習をさせられます。それは大げさな計画ではなく、たとえば、宿題、友達と遊ぶ約束、ゲームの時間、お家で家族といる時間などがあたったら、それを一日のうちのどこでやるか、を前もって考えて紙に書いたり、親に聞いてもらったりします。そして必ず教えられるのが、「途中で計画通りにいかなかった時に調整すること」です。今日何かの理由でできなかった宿題は、必ず明日のどこかでやるように修正します。最初の計画表通りにすべてをクリアすることを想定していません。日本では、小学生も夏休みの計画表を作るものの、修正案の作り方はあまり教わっていない気がします。計画通りにいかなければ途中で計画表はなかったことにしてしまい、そして計画が不実行に終わった後ろめたさにしばらく暗い気持ちになる、、、。今思えば、途中でうまくいかなかったら計画変更すればよかっただけ。そうすれば最後の目標値までどうにか辿り付けたかもしれません。

ジョンソン首相も名門プレップスクール、シニアスクールで育ったバックグラウンドをお持ちの方。もちろんRoad mapプランを立てることはごく当たり前の発想だったのでしょう。プラン一つめの学校再開は、まずは実現されるはずです。その後のプラン実行については、一つずつ動向を観察していくとしましょう。

山岸