試験が変われば、教育も変わる。
18th Dec 2020
コロナ禍で日本でも受験の方法に苦慮しているとの記事が頻繁に新聞に載ります。賛否両論でまだまだ行方が分かりませんが、先日小さな記事を見つけました。
海外の論理的な説明を重視した試験内容にしようと、いくつかの私立中学が動き出したとのことです。暗記したことを回答用紙に書けばよい従来の知識重型からの脱皮です。知識を受験のために詰め込む勉強がいかに後々あまり役にたたないかにやっと気づいたということでしょう。今や分からないことはすべてコンピューターで検索すれば、簡単に知ることができる時代であり、理解なしの暗記がどれだけ空しいかを我々は解っていいはずです。たぶんコンピューター世代の若い子達にとってはなぜこんな事覚えないといけないの?検索すればいいじゃん!と不思議ですらあると思います。
中学高学年、高校生になってから留学するとすぐにぶつかるのがこの壁です。私もこの壁を越えるのに苦労しました。何年もの間日本の学校で、「暗記」こそが試験勉強だと教えられ、それに準じてきた者にとって、いきなり「どうしてだか説明しなさい」と言われる、説明ができないと試験で点数が取れない・・・今までは何年に何が起こったかを憶えてさえいれば、OKだった歴史なのに、どうしてそれが起こったのかを出来るだけ詳しく説明しろと言われるわけです。慣れてないなぜ?なぜ?どうして?の応酬に最初は頭がどっと疲れましたが、段々とそれを考えるのが面白くなるにつれ、自然と思考ができるようになってきました。そしてこれこそが社会に出て必要な能力であると認識し、イギリスの教育に感謝したのはだいぶ大人になってからでした。
日本もそれに気が付き、「考える脳」を作る教育を始めたということは大変喜ばしいことですが、「論理的説明」を答えとする試験を採点するのは大変です。それこそコンピューター採点で即日結果発表とはいかないでしょう。イギリスがGCSEやA levelの採点に2か月を要する理由がこの記述式の採点なのです。さて、日本はこの問題にどう対応していくのでしょう。この方法を取った中学の採点方法も是非知りたいと思います。
渡邊