今時の英語
11th Jan 2019
明けましておめでとうございます
元旦の朝、年が変わっただけなのに何故か「ピリッと」した澄んだ空気を感じませんか?イギリスの今一つメリハリ感のないNew Yearを過ごしてから何十年も経ちますが、私も「やはり正月は日本じゃなきゃ・・」と思う人の一人です。
年々海外がらみのニュースが多くなってきています。日本国内だけで物事を語るのが難しい時代ですね。それに並行して「英語」熱も益々高まっていると感じていますが、学校教育の上での英語レベルの引き上げだけでなく、この熱は「海外の大学を目指す」、「幼児からのトレーニング」など年齢の幅も広げています。日本の塾産業を見ていると、通常の日本の大学受験だけに焦点を合わせているだけでなく、海外の大学受験をもその指導の枠に入ってきました。そして幼児教育でも「英語」を売りにしているプレスクールや学童まで今や雨後の筍のように増えてきています。
小学生からの留学をお世話し出して20数年になりますが、すべての小学生の英語力が皆無だった時代はすでに過去のものとなり、今では留学を希望する小学生で英語をまったく学んでいないという子供に出会うのは稀です。いやはやニーズが先なのか、ビジネス展開の効果なのか、少子化にもかかわらず、幼児の英語教室は今や「常識」になりつつあります。そこで気になるのが「質」の問題です。幼児教育と言っても様々な方法があり一概にその優劣はつけがたく、ましてや幼児への英語教授法となると日本ではまったく確立されていないと言っても過言ではありません。酷い例では、「英語を教える資格もない、外国人であるというだけ」の人間が英語を教えているのです! 何せ記憶力抜群の年齢です。大人のようにAppleはリンゴであると単語を日本語で認識して覚えるのではなく、意味は分からなくともどのような場面でどのような表現をするかを素早く察知します。例えば8才の子に 「これ君の?=Is this yours?」と尋ねると、Yesではなく、Mineでもなく、「僕の!=It is!」との答えが返ってくる。これが自然な会話です。昨今のプレスクールと称するところで英語を習っている子供達から聞こえる英語は「教えられた英語」であることがとても気になります。方や英国の小学校で学ぶ子達の英語はまったく違います。日本人特有の物静かな子がたったの半年で周りの英国人の子供達と同様に有名なキング牧師のスピーチを力強く暗唱する姿はいかに言語がその背景と密接な関係にあるかを物語っています。
英語力では世界でかなり低いランキングを盛り返すためか、日本は英語レベルの引き上げを真剣に考えているようで中学3年生でB1レベル(英検準1級程度)にもっていこうとしていますが、やはり何かが違う、欠落している気がするのです。
渡邊