芸術の夏
11th Aug 2017
イギリスに行くときには、事前に下調べをしてお芝居を観たりコンサートに行くのが一つの楽しみなのですが、先月久しぶりに夏場に渡英して、夏の芸術鑑賞がとても盛んなことに気付きました。それも、やはり天候が良いとどんなことにもフットワークが軽くなるからなのでしょう。「芸術の秋」ならぬ「芸術の夏」。有名なものだと、毎年スコットランド・エジンバラで開催される芸術祭「フリンジ」や、野外ロックフェス「グラストンベリー」などが挙がりますが、予定を立てて参加しなくとも、日常的にどの街でも様々なイベントが企画されるようです。特に、真夏は日没が夜9時以降にもなるので、体内時計がズレて、仕事終わりにどこかに出かけないと損した気分になるイギリス人。それに応じ、博物館や美術館が閉館時間を延長することに始まり、様々な屋外イベントが期間限定で可能になるため楽しみがドッと増えます。また、主催側の理由の一つとして、海外旅行にバカンスに出かける人々に少しでもイギリスに残るインセンティブをつくっているとも言えます。
今回、日本ではあまり体験することのないアートに触れ、ボーディングスクールにいた頃の環境を思い出す機会になりました。学業と並行してスポーツ、音楽、美術、演劇、チャリティー活動と様々なスキルや思想を育むボーディングスクールですが、その中で演劇に対する日本の親御さんたちの印象は比較的薄いのではないでしょうか。作品として残る美術や、有料のレッスンが受けられるスポーツや音楽に比べ、特に興味がある生徒でなければ話題にならず、お子さんが出演した劇のビデオを購入する程度にとどめる方が多いと思います。しかし、思い返してみると演劇は学校生活の中で大きな部分を占めていました。寮の演劇大会は運動会と並び唯一全校生が参加するイベントでしたし、英語のクラスでロンドンにあるグローブ座でのシェイクスピア劇を観劇したり、クリスマス時期のご褒美としてロンドン・ウェストエンドのミュージカルやオペラを毎年観に行ったものです。そして、終わった後にみんなで意見を交わす時間がありました。長い夏休みに入っている今こそ、日本でも(海外でも)継続して演劇に触れる機会をつくり、親子やお友達同士で意見交換をするのも一つのプランかと思います。
矢部