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2017年「学習指導要領」に思う・・・

24th Feb 2017

毎年春が近くなり、新学年が始まる前に「学習指導要領」が発表されます。今年の要領を読みながら、仕事柄、常々「英国の教育」の中身と「日本の教育」の中身を比較し、皆さんに説明する立場にあるので、日本の教育内容がやっと「現代」に近づいているようで嬉しく思いました。

例を挙げると、まずは中学の数学にやっと「統計学」が取り入れられたこと。コンピューターの使用が一般化している今日、万民に必要なのは高等数学の数式を解くことではなく、日常のあらゆる場面に登場する「統計」による数字を分析、解読することが求められています。実は英国ではコンピューターの登場とともに50年以上前から中学の学習に取り入れられていたのです。この導入で数学の「好き」「嫌い」も少し変わるかもしれません。

理科や社会でも今まですでにあった事実を単に暗記するだけではなく、今世界で起きている現象に照らしての問題解決が優先されて来つつあると思います。勉強をしながら子供達は常に「こんなこと勉強して役に立つの?」と思っているでしょう。今までは「受験のため、受験に役立つ」というような目標にすり替わっていたように思いますが、受験が終わったら役に立たない勉強ではあまりに膨大な時間を無駄にすることになりかねません。その上、コンピューターの発展とともに知識は瞬時に得ることが出来る反面、情報過多ですからそこで得た知識をどのように問題解決に使うかが求められる時代です。英国の教育はかなり昔からここに焦点が合わされており、勉強が面白いという留学生の発言はこのようなところからも理解できます。 日本も現代にマッチした教育から勉強が「面白い」と感じる子供達が増えるといいですね。

とは言え、英語の必要性が増している現代では、2020年には小3から英語の授業が取り入れられ、日本の教育では益々英語教育のために時間が割かれてきます。それが他の学科の時間を奪い、特に理科、社会、そして芸術方面に割く時間を少なくしているのも事実です。限られた時間内にすべてをつぎ込むのは至難の業。これだけの膨大な時間を費やす英語が最低でも「使える」スキルになってくれるよう、時間数を増やすだけでなく、まだまだ英語教育の中身を熟慮、検討することが早急な課題であると感じます。

渡邊