チャリティーに頑張る英国社会
23rd Dec 2016
「Noblis Oblige」という言葉が英国の伝統の中に常に登場します。これは「貴族の義務」とでも訳しましょうか、現在一般的には「富める者の義務」という形で受け入れられています。富裕層でチャリティーに関わっていない人はいないという位にそれは富裕層の常識として扱われます。
ではチャリティーは富裕層だけのものかと言えば、それは違います。自分のできる限りで困っている人に分け与える精神として英国のどの階級でも日常にあるのがチャリティーです。子供達はまずはそれを日常の学校教育の中で学びだします。年間の学校行事でチャリティー関連のものの多いこと。それもすべて生徒達の参加型です。たぶん一番良くあるのは、Sponsored Walkというイベント。これは学校を起点にただひたすら「歩く」だけ。
親、親戚、友達を周り、1マイルに付き、例えば5ポンドを寄付するという約束の基にスポンサーになってもらいます。 たぶんお祖父ちゃんお祖母ちゃんはもっと奮発することでしょう。Walk後に自分が頑張って歩いただけの「稼ぎ」をスポンサーからもらい、それをチャリティーに寄付します。
英国の国教はキリスト教。学校のカレンダー上でもWinter holiday (冬休み)ではなく、Christmas Holiday と言い、Spring Holiday(春休み)と呼ばずにEaster Holidayと呼ぶのは皆さんご存知ですね。 Easterの前の学期はLent Term. Lentとは受難節という意味で「キリストが民の為に断食をして祈ったとされる」季節です。この間に通常紅茶に砂糖を入れることを我慢し、その分費用をチャリティーに廻すお年寄りは今でも多く、学校では小さい子がチョコレートのおやつを我慢してその分をチャリティーに寄付するなどの習慣が英国にはあります。
日本でも時々、アフリカの子供達へのチャリティーなどの寄付を募る広告を見かけますが、英国の「参加型」とは違いますね。 困っている人の為の自己犠牲を児童の頃から学ぶという英国の教育の深さを感じる一つの「文化」と言えるでしょう。
今年最後のブログになりました。 毎週続けて読んでくださった方達に感謝です。来年もスタッフ一同、出来るだけ英国関連のニュースを送り続けたいと思っています。
まずはMerry Christmas! そして良いお年をお迎えください。
渡邊