ペットフードの違い
25th Nov 2016
少し前のことになりますが友人夫婦の旅行中に彼らの猫ちゃんを10日間ほど我が家で預かりました。はじめはまさに借りてきた猫で、ほとんど階段下に隠れたままでしたが、人間が不在のときにはそれなりに自由にしていたようで、トイレは必ず決められた場所で、爪研ぎも即席で柱に巻いた縄で済ませてくれたので全く手はかかりませんでした。最後の数日は、相変わらず人間との距離は遠いものの家の中でくつろぐようになり、その様子もかわいらしくなかなか楽しい経験でした。
その猫ちゃんが普段から食べているキャットフードがイギリス製でした。友人が持参したフードの袋がスーパーで見たことないものだったので、インターネットで調べてみると結構高級なもので、普段見かける国産メーカーの3~4倍、別の海外メーカーの獣医推奨フードブランドと比べても2倍ほどの価格でした。一体何がここまで価格の差を生むのかを調べていくと、穀物を使っていないことと(肉食動物には消化しにくいようです)、人間も食べられる基準をクリアした放し飼いのチキンを主原料に使っているという2点が主な理由のようです。更にこのような高級フードでなくても、イギリスの国の基準ではペットフードに使う肉は人間と同じ安全基準を適用するという決まりがあるそうです。一方の日本では、そのような厳しい基準はない為、確かに原材料を比べると海外メーカーのフードには使われていないものが多く含まれていました。
イギリスが動物愛護先進国と聞いてはいたものの、ペット愛好家の方々には常識であるのかもしれませんが、キャットフードの基準ひとつをとってもこれほどの違いがあるのは驚きでした。個々の飼い主さんは日本でもイギリスでも同じようにペットを大切にしているのだと思いますが、それにも関わらず国レベルの規制ではここまで差があります。私の友人夫妻も自分たちの猫ちゃんに安全なものを食べさせるために、仕方なく料金の高いフードを購入していると言っていましたが、同じような悩みを持つ飼い主さんがきっと他にも多くいらっしゃるはずです。この人たちが声を上げれば、日本の法律や国産メーカーの安全基準を変えるきっかけを作れるかもしれません。イギリスの学校で教えられる「困っているときは助けを求めよう、そうでないと誰も気づいてくれない」という教えは、勉強にとどまらず、このようなところにも違いを生むのかもしれないと思いました。
長須